おとり取材のターゲットになった「スラムドッグ&ミリオネア」子役の父

09.04.22 by   カテゴリー : ニュースあれこれ, 世界の窓

  インドの貧しいスラム街に住む少年がテレビのクイズ番組に挑戦する様子を描いた映画「スラムドッグ$ミリオネア」。この映画に出演した女児の父親が、20万ポンド(約2800万円)で自分の娘を売ろうとしている、という報道が出た。
 ネタ元は19日付の英大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」だ。この新聞は、ゴシップ記事が中心のタブロイド紙。今月中旬、記者数人が中東の裕福な王族に成りすまし、主要キャストの子ども時代を演じたルビーナ・アリちゃん(9歳)の父親におとり取材をした。高額の養子縁組を持ちかけたという。おとり取材の件はインドでも大々的に報じられた。父親は記者らに会ったことは認めているものの、他メディアの取材に対し、人身売買の件を否定した。
 本当に娘を売ろうとしていたのかどうか、真実は当事者以外には不明だが、映画が世界的大ヒットになったものの、出演した子役らは未だにスラムに住み、貧しい生活は変わっていないという厳しい現実が、こうした報道の背景にある。生活が苦しい子役の家族の弱みに付け込んだような、ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙の取材に、なんとも後味の悪さが残る。
 「スラムドッグ$ミリオネア」は、今年の米アカデミー賞で作品賞など8冠に輝いた映画だ。「スラムドッグ」とは「スラム街に住む人」を指す。インドの外交官ビカス・スワラップが執筆した小説の映画化で、ダニー・ボイル監督(「トレインスポッティング」など)がインドで撮影しながら作り上げた。
ルビーナちゃんの現在と華やかなハリウッドのイメージがかけ離れているのは確かだ。アカデミー賞授賞式に出席し、米女優ニコール・キッドマンとコマーシャルで共演したものの、ルビーナちゃんは未だにスラム街に住んでいる。
映画は世界で3億ドル(約295億円)の興行収入をあげた。映画制作者たちはムンバイのスラム街に住む子供たちのために、50万ポンド(約7200万円)を寄付しており、この資金はチャリティー団体「プラン」が管理している。子供たちの生活水準の向上に向けた、五ヵ年計画を実行中だ。プランの広報担当者マリー・ストートン氏によれば(ガーディアン紙、4月16日付)、スラム街で生活する人の数は世界で10億人だ。

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