スラブの「いろは歌」 

日本の「いろは歌」のように、古代ロシアにも頭韻法的アルファベットの詩がありました:

Азъ Буки Веди. Глаголь Добро Есте,
アーズ、ブーキ、ヴェーヂ。グラゴーリ、ドブロー、イェーシチ。
Живите Зело, Земля, И, Иже Како Люди, Мыслите Нашь Онъ Покои.
ジヴィーチェ、ゼロ、ゼムリャー。     イー、イーゼ、カーコ、リューヂ、ミースリチェ、ナーシ、ポコーイ
Рцы Слово Твердо – Укъ Фърътъ Херъ. Цы, Черве, Шта Ьра Юсь Яти.
リツィー、ソローヴォ、ツヴョールダ。ウク、フェレツ、ヘール。ツィ、チェールヴェ、シター、エリェ、ユーす、ヤーチ。

現代の言葉に翻訳すると次のようになります;

「私は文字を知った。言葉は「富」である。地上に住んでいる人間は、一生懸命努力をして、勤労に励み、宇宙(世界)を理解せねばならない。 真の言葉を言いなさい。真の知識は神様から賜った知識である。宇宙(世界)の“光”(知恵)を理解しなさい。」

ロシア語では「アルファベット」は “azbuka”(アーズブカ)です。現代のロシア文字は(А)アー、(Б)ベー、(В)ヴェーのように発音されています。20世紀初頭まで、いずれの文字も(А) アーズ、(Б) ブーキ、(В)ヴェーヂ等の元の名称と意味で記憶されていました。

古代スラブ語では、[az]は「私」を意味していました。「ブルガリア語では“私”は“az”です」。“Buki”は 「文字」を意味します。

昔の本の飾りの頭文字にも意味があります。

[A] Аз(アーズ)はシムルグです。巨大な伝説の鳥が描いてある。孔雀のような鳥で、犬の頭、ライオンの足がある。ある本には人間の顔が描いてある。シムルグは地上と天界の結合を表わす。又別のシムルグの意味は太陽に関係するので“神々しい光”である。 [A] Аз(アーズ)という文字は「世界の源」も意味する。

[Б] Буки(ブーキ)は「文字」(複数)を意味する。世界の第二の場所のシンボルである。飾りは木、ガラス、動物でできている。人間の姿は自然の中の人を表している。

[B] Веди(ヴェーヂ)は“知る”を意味する動詞«ведити»(ヴェーヂチ)の過去完了形である。語源はサンスクリット語(梵語)である。よく知られているように、ヴェーダ(サンスクリット語で「知識」を意味する)はアジアが起源の経典の集大成である。それらはサンスクリット語の最古のものであり、ヒンズー教のもっとも古い聖なる経典である。

スラブの“いろは”は日本の言霊の五十音の意味に少し似ていませんか。

(注) 面白いのは、ロシア語の “buki”もドイツ語の“Buch”(本)も、起源は「ぶな」という木の名前です。
(ロシア語:«бук»、ドイツ語:“Buche”)。

Comments

1 コメント

  1. mT / 11.12.10 8:06 PM 

    非常に面白く拝見させていただいたのは、「文字」と「言葉」と [A] Аз(アーズ)という文字は「世界の源」であるというくだりです。

    私は言葉は人間の起源と共にはじまったといつも考えてきましたので、とても興味深かったのです。世界の存在する全てには名前が付けられている。星座の発見や新種のバラの誕生では人の名前が冠せられたりするようですが、だからといってその存在に即して名前が付けられたのであり、言葉は人間の起源と共にはじまるということとなんら矛盾はないように思うのです。

    言葉は人を離れてないし、また超越的に神が人間に与えたものなどでは決してないと考えます。そのくらいに人間にとって言葉は重いのだと思うし、言語には責任の存在が宿っているのだと考えます。

    だた、文字は音声と異なっていて、音色がわからない場合が多い。そのためか、言葉の持つ音とか話し方の抑揚とかが最近は、非常に文字を見ていて気になるわけです。





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