「視点を変える」②若い政治家が必要な理由とは?

09.07.26 by   カテゴリー : コラム

sunda 8月30日、日本では総選挙が行われる。どの政党あるいは候補者に投票するか、みなさんはもう決めただろうか。私の周囲に聞くと、「投票には行かない」と答える人がこれまでは多かった。「行っても何も変わらないから」と。しかし、今回はことによったら野党が政権を取得する可能性がある。さてあなたはどうするだろうー?

 今回はやや特別としても、長年、「どうせ変わらない」と思ってきた人の中で、「どうも争点がピンとこない」、「自分の生活と直結していない」と感じてきた人は結構いるのではないか。例えば、年金問題や高齢者医療の改革などが何故大きな争点になるのだろうと、考えたことはないだろうか?

 「当たり前のことを聞くな!」と思わないでほしい。実は、有権者の中でよく投票に行く人の年齢が中高年から老年であるという要素が大きいからではないかー?ということを、私はあるシンクタンクの人から指摘されて、はっとした。

―若者層取り込みの努力

 私が現在住む英国では、若者の政治参加を促すため、2006年、下院議員(日本の衆院議員に相当)への立候補最低年齢が21歳から18歳に引き下げられた。選挙権の最低年齢18歳を16歳に下げようという声もある。

 若者層の取り込みの努力が行われているのは、若者層の投票が他の年代と比べて非常に低いためだ。1997年の下院選では18歳から25歳未満の有権者の投票率は69%だったが、2005年の下院選(直近)では、37%に下落した。

 また、下院議員の年齢構成を見ると、05年の総選挙直後で当選者の平均年齢は50・6歳(ちなみに、05年の衆議院選挙の当選者平均年齢は52・3歳)。最も多いのが50代(249人)、これに40代(191人)、30代(89人)、20代(3人)と続く。このような年齢構成では、英シンクタンク「フェビアン協会」の事務局長スンダー・カトワラ氏(写真、右上)によれば、若者たちは、自分たちの存在が反映されていないと思ってしまう。

 中高年以上の下院議員全体に占める割合や、投票者全体に占める割合が高いので、政治の議論の中心が「どうしても中高年以上が重要と考える問題になりやすい」のだそうだ。

 「政治にもっと若者を!」という声を前に聞いた時に、大して強い印象を持たず、ただのスローガンに聞こえた私だったが、カトワラ氏に2007年会って、英国の政治の話を聞くうちに、実は深い意味があったと思うようになった。20代、30代の自分は40代、50代、60代の政治家の姿を見て、少なくとも「自分たちを代表している」とは思えなかったし、争点にしている問題にも当時の私にとってはいまいちピンとは来なかった。しかし、そうやって若者たちが政治参加から遠のいているうちに、政治は「中高年のための中高年による」ものになってしまった。政治はその社会の構成員全員に影響を及ぼすものであるから、これはまずいことになった・・と思った。

 「若者が政治家に立候補したからといって、他の問題がすべて解決されるわけではない」(カトワラ氏)が、投票者もそれから議員の年齢構成でも、一部に偏ってしまうのは良くない。若者にとって重要な問題が抜け落ちてしまってはいないだろうか?

 カトワラ氏との会話は「日刊ベリタ」に書いたのだけれど、もう一つ、「うーん」と思ってしまうコメントがあった。それは「消費者の嘆き」で判断するな、ということだった。

 

 スンダー・カトワラ氏:私が現在の政治に対して持っている大きな懸念の1つは、ある政治体制が機能しているかどうかを市民が検証する時、「自分が欲しいものを得られたかどうか」という点から判断する傾向だ。「私は非常に忙しい。自分の人生があるし、仕事がある。私は消費者だ。私は政治を無視する。政治家のあなたがやればいい。政治はあまりにも退屈すぎる」と言って、政治問題に全く関心を持とうとしない点だ。まるで、市民がお店に行って、「あれが欲しい」といって消費するようなものだ。しかし、政治は消費行為とは反対の行為だ。将来を能動的に作り上げていく過程だ。社会の構成員全体のための決定を、集団で行なうことだ。政治が単なる消費者の嘆きになると、その意味が失われてしまう。(引用終わり)

 

―エミリー・ベンさんの登場

 2007年9月、当時17歳だったエミリー・ベンさんが、英南部イースト・ワージング・アンド・ショーラム選挙区で労働党公認候補に選出され、内外で注目を浴びた。

 エミリーさんは政治一家の生まれ。半世紀ほど国会議員だった労働党左派のトニー・ベンを祖父に持つ。叔父も政治家だ。当時、エミリーさんはブログに「多くの若者が生きる目標を持たず、幻滅して学校を卒業してゆく。若者たちを元気付けるために何かがしたい」と書いた。

 英国でも近く総選挙が予定されている。期日はまだ不明だが、5年に一回は総選挙を行うことになっているので、来年5月頃までには実施される。現在19歳になったエミリーさんは、もちろん立候補予定だ。社会の不公平をなくするのが、政治家になろうと思った理由だと労働党のウェブサイトに書いている。どのような経済状態の家庭に育っても、すべての児童・若者が質の高い音楽教育を受けられるようにしたい、とも。

 

スンダーカトワラ氏・インタビュー

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200710240249223

 

エミリー・ベンさんのメッセージ

http://www.ewaslabour.org.uk/index.php/ppc/

 

Comments

1 コメント

  1. 真菜 / 09.07.31 9:00 AM 

    私もロンドンに住んでいますが、転出届を出していないので選挙人登録ができず、20歳になる前から来ているのでまだ投票したことがありません。イギリスでは18歳から16歳、日本では20歳から18歳に選挙権を引き下げようとしているみたいですが、高校生のときにバイト先の先輩たちが郵政選挙について話しているのを聞いたときは、とても真剣にマニフェストを知った上で投票しているようには思えなかったし、単純に若い人がもっとを投票すればいいというわけではないと思っていました。前に爆笑問題の番組で金美齢さんが同じような主張をしていたのですが、それに対して太田さんは「メディアに踊らされてろくに考えずに投票しようがとにかく参加することが大事、そこで政治がおかしくなれば皆誤りに気づいて次から責任を持って投票するようになる」と返していて、それも最もだなぁ、けど時間がかかりそうだなぁと思いました。今回民主党がマニフェストに組み込んでいるみたいですが、遠回りをせずに若い人にもきちんと考えて投票してもらうためにも、ネット上での選挙活動は不可欠だと思います。





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