アリゾナの新移民法は人種選別か 

10.07.28 by   カテゴリー : 世界の窓

 29日、警察当局の不法移民取り締まり権限を強化する移民法が、米アリゾナ州で施行される。オバマ政権は、この法律が連邦政府の移民政策の執行を阻害し、憲法違反になるとして、今月上旬、アリゾナ州と同州知事を提訴している。不法移民に対する不満が高まる米国で、大きな注目を浴びる法律の成立経緯に注目したーニューズマグ)

 米アリゾナ州では4月23日、新移民法が成立した。新法では、警官は不法滞在らしき者への職務質問が義務づけられ、移民が合法的IDを携帯していなければ即時逮捕できる。市民や人権擁護団体からは「人権を脅かす」と抗議の声は高まっている。  

 東西約1100キロにおよぶ国境沿いでは、日に千人単位でメキシコからの不法入国者が逮捕、拘留された後本国へ返される。国境には1、5メートルほどの高さの柵があるが、簡単にのり越えられ、国境パトロールとのいたちごっことなっている。この法案可決の背景には、減少しない不法入国者と、メキシコの麻薬密輸抗争に伴う犯罪に市民が飽き飽きしているというのがある。  アリゾナでは多くのメキシコ系移民が、農業・建設業などに従事している。その中に、推定で46万人の不法移民がいると言われている。不法移民といっても、何世代にわたって同じ地区に住んでいる人や、よく知られている会社に勤め隠れ市民として生活している人もいるという。

  法案が下院を可決した4月21日までに、共和党ジャン・ブリュワー州知事事務所には、賛成約1300、反対約12000の手紙や電話が届き、事務所の外では、連日反対者が知事に拒否権を発動するように訴えてきた。

  民主党・ジャネット・ナポリターナ前アリゾナ州知事は、在職時これらの移民法に拒否権を行使してきた。しかし、ナポリターナ氏が国土保障省長官となり、ブリュワー氏が受けついで、取り組みが大きく変わった形だ。  

 警官は不法入国者かと疑えば、職務質問する権限が与えられるのだが、問題は警官がどのように合法か不法かを判断するかということである。メキシコ系、または移民らしい者が対象となる。簡単に言うと、人種による選別である。しかし、米国は移民の国、メキシコ系であろうがなかろうが、ここで出生すれば市民権が与えられる。ということは、一見「メキシコ系」は「移民」ということにはならない。

 「不法移民かも」と、職務質問をすること自体が、「人種差別」「人権無視」にあたるという非難の声が、人権擁護団体からは起こっている。フェニックスにある州議会議事堂前では、数千人が抗議集会を開き、「新法は憲法違反」と気炎をあげた。  

 この新法は、主な歳入が観光というアリゾナ州の財政を脅かすかもしれないと見る向きもある。実際、アリゾナでのビジネスを拒否する動きが出ている。米国移民弁護士協会は、今年のアリゾナでの会合をキャンセルすることを発表している。  

 法案可決後オバマ大統領は、「この法案は、アメリカ人として我々が守り育ててきた公平の基本的観念を脅かす。また、警官と市民との信頼関係をも同様に脅かすものだ」と同法案を厳しく批判した。  

 また、メキシコのフェリペ・カルデロン大統領は、「メキシコ政府としては遺憾だ。この法案は、国境での共通の問題解決への障害となるだろう」と非難している。

(Newslog USAブログより 筆者は在米ジャーナリスト)

Comments

1 コメント

  1. Tweets that mention アリゾナの新移民法は人種選別か : ニューズ・マグ -- Topsy.com / 10.07.29 4:11 PM 

    [...] This post was mentioned on Twitter by お狸大明神, ニューズマグ. ニューズマグ said: 「アリゾナの新移民法は人種選別か」 29日、警察当局の不法移民取り締まり権限を強化する移民法が、米アリゾナ州で施行された。 「ニューズマグ」 http://www.newsmag-jp.com/archives/4416 [...]





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