葬儀でやじるのは言論の自由か Newslog USA

 厳粛に行われている葬儀の横で、「地獄へ落ちろ」とやじられたらどうだろうか。米カンザスの教会グループは「同性愛に寛容な米国」を守る兵士は悪魔と、戦死兵の葬儀を妨害してきた。怒る戦死兵家族と教会は、今法廷で戦い、争点は言論の自由である。

 米メディアによると、このグループは、カンザス州トペカにあるウエストボロ・バプテスト教会メンバー。代表は、フレッド・フェルプス牧師。同性愛者へのヘイトグループ(差別扇動集団)として知られている。

 米国には、多くのヘイトグループがある。主に人種、宗教、性指向などへの差別集団である。近年、性指向差別の台頭は、同性愛者が社会的に認められ始め、米軍もその方向に進んでいるという背景がある。クリントン政権時、米軍は「尋ねるな、言うな」と、同性愛者であることを消極的に容認してきた。オバマ大統領は、クリントン氏より一歩踏み込み、性指向への差別はなくすべきという積極的姿勢をとっている。

 今回のヘイトグループ・ウエストボロ・バプテスト教会メンバーは、今まで600もの戦死兵の葬式に行き、ピケをはり、「ホモに寛容な米軍は悪」「兵士は悪魔」「神はお前を憎んでいる」などのプラカードを掲げ、やじをとばし、葬儀をハイジャックしてきた。

 その戦死兵の中の一人は、マシュー・スナイダー海兵隊下士官。06年にイラクへ派遣され、1か月後に死亡した。メリーランド州での葬儀には、フェルプス牧師率いるグループが現れ、葬儀の邪魔をした。牧師グループは、悪魔の国を守った兵士だけでなく、その兵士を支えてきた家族にも天罰が下るとしている。

 最愛の息子の葬儀をぶちこわされたスナイダー下士官の家族は、プライバシー侵害と精神的苦痛を与えられた科で訴訟を起こした。地方裁判所は、教会側に非があると裁定したが、教会側は控訴。連邦控訴裁判所は、先の決定を覆し、プラカードはスナイダーさんに特に向けられたものではなく、「憲法で保護される」内容とした。葬儀でやじることは言論の自由だと判定したのだ。

 その上、控訴で敗北した家族は、教会側へ法廷費用16000ドル(約145万円)を払うようにと判決が下された。

 教会側は、そのお金を、別の葬式妨害に使うと言う。

 家族は、この判決に不服、訴訟は最高裁で決着を見ることとなった。言論の自由は、憲法修正第一条で謳われている。しかし、どこまでが言論の自由の範囲に入るのか、社会的な常識として、どこまでが許容されるのか、この問題は全米へと広がっていった。メイン、バージニアの2州を除いて、州検事総長は、「ハラスメント」表現には言論の自由は適応しないという立場をとり、法廷助言者声明に署名し6月1日に提出した。

 「言論の自由」をめぐっては、米国で訴訟は絶えない。憲法上、誰もが自分の信念に従って自由に発言する権利はある。「米国は自由な国。自分の好きなことをして好きなことを言って、何が悪い」といった声を隣人から時折聞く。しかし、社会は法だけでは成り立たない。法よりも、社会的常識があろう。葬儀のような場をハイジャックする権利を、法の名の下で与えていいのか。最高裁で、どのような裁定が下されるのだろうか。米国にも、まだ常識はあるということを見せてほしいものである。(筆者は在米ジャーナリスト)

 最高裁は、10月に訴訟の口頭弁論を聞く予定である。

 ブログ Newslog USAより

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1 コメント

  1. Tweets that mention 葬儀でやじるのは言論の自由か Newslog USA : ニューズ・マグ -- Topsy.com / 10.08.22 11:28 PM 

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