波津先生のテレビ番組案内 18日夜はNHK教育テレビがお勧め
(大妻女子大でライフデザインを教える波津博明先生のメールの一部を紹介しています。)
何日かぶりで、番組案内を送ります。今週から、NHKの番組案内雑誌ステラが(大学の購買部より)到着し始めたので、やりやすくなりました。確かに、番組表は便利なんですけど、やはり内容のポイントは、雑誌情報がないと・・。
あす18日の一押しは、NHK教育テレビ「原発事故への道程㊤置き去りにされた慎重論」
18日(日)
午前8時 TBS サンデーモーニング
●午前10時 テレ朝 サンデーフロントライン
●午後1時50分 NHK総合テレビ 「NHKスペシャル イグネ 屋敷林が育む田園の四季」
◎午後6時 NHK衛星第1テレビ 「ドキュメンタリーWAVE フクシマの衝撃 フランス・揺れる国境の原発」
※電力供給の8割近くを原子力に依存する原発大国フランス。福島の事故のあと、フランスでは、何が起きているのか。
●午後7時54分 テレ東京 「緊急生放送 池上彰のエネルギーを考えるSP」
※池上さんは、基本的には、政府・東電と同じ認識で電力事情をとらえているようです。ただ、その範囲内ではかなり良心的で、原発のこれまでのあり方が基本的には正しい、といった見方はしていないようだし、原発依存から脱却しようという志向もはっきりしています。ただ、現在すでに、日本の場合、実は原発ゼロでも、電力は十分にあって、「今すでに原子力は不要」になっている、という認識はありません。そのために、「原発に代わるエネルギーは?」という問題の立て方をしてしまいます。確かに、フランスの場合などは、きょう原発をやめるとすれば大変です。本当に停電してしまうかもしれない。
しかし幸い、日本では、原発を動かすために、わざと使うのをやめた火力発電所がたくさんあるため、これをまた使えばいい。「原発に代わるエネルギー」をあわてて探す必要などない、という見方が有力です。となると、現在、「原発に代わるエネルギー」という言葉を使うこと自体が、政府・自民党・官僚・東電の作った土俵に上がることになるでしょう。かりに「大量の新エネルギーは見つからない」という結論になると、「やはり原発に戻ろう」という論理になるからです。
原発は今日にもやめられる。問題は、「温暖化ガスを出す火力に代わるエネルギーは?」ということでしょう。論理のすり替えを許してはならない。
その意味で、池上さんには、現状への「疑問」が足りないと思います。しかしとにかく、エネルギー問題を全体として理解する助けとしては、わかりやすくいろいろ解説してくれるでしょうから、参考にはなります。見て損はないでしょう。
●午後8時 NHK教育テレビ 「日曜美術館 地底の記憶 山本作兵衛の炭鉱画」
◎◎午後10時 NHK教育テレビ 「原発事故への道程㊤置き去りにされた慎重論」
※6月に、「ネットワークで作る放射能汚染地図」というクリ―ンヒットのドキュメンタリーを制作した、NHKの希望の星、「教育テレビ」が放つ本格特集です。これは、大いに期待できそうです。1時間半ありますが、これが前編で、後編がさらに控えているようです。前後、しっかり見たいものです。
19日(月)
午前11時20分 NHK総合テレビ 「子供だけの避難生活」
●午後1時 NHKBSプレミアム 映画「シマロン」
●午後10時 NHKBSプレミアム 映画「ジャッカル」
※きょう最長のコメントは、この映画で。時間のある方はどうぞ。
「テロリストとの戦い」という、ハリウッド映画によくある、非現実的なパターンの映画ではありますが、注目点が1つ。アメリカ映画では、アラブ人はほぼ常に「悪逆非道なテロリスト」として描かれます。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でさえ、悪役は「リビア人テロリスト」でした。リビアは、北アフリカのアラブ人国家ですね。アラブ風の服を着ていれば、殺人狂扱いです。
これが、米国内のアラブ嫌悪、イスラム嫌いを大衆レベルで拡大するのにかなりの影響を与えていると思います。
しかし、テロリストがアイルランド系の場合、一転して、同情のまなざしで見られます。この映画もそういう映画の1つです。
なぜ、アラブ人は嫌われるのか。
イスラエルとの関係です。
1948年、欧州から移民したユダヤ人たちは、パレスチナ地方のアラブ人を武力で追い出したり、脅したりして、追放しました。デイルヤシン村の虐殺など、ユダヤ過激派によるアラブ人殺しで、アラブ住民を震え上がらせ、村を棄てて逃げさせる、という手法が有名です。アラブ人がいったん、避難して姿を消した村には、ユダヤ人が入り込み、土地を奪っていきました。
こうして、パレスチナの地に成立したのが、イスラエルという「ユダヤ人国家」です。しかし、そこはもともと、パレスチナのアラブ人が住んでいた場所です。アラブ人は村に戻ろうとしました。しかし、イスラエルが作った「国境」を超えようとすると、逮捕されたり、殺されたり。イスラエルは、中東唯一の欧米系国家(だって、作ったのが、欧州から渡ってきたユダヤ人ですから)で、アメリカの外交政策を全面的に支持していたので、アメリカは、イスラエルのすることをほぼ全部許すようになります。アメリカは、イスラエルと手を組んで、アラブ人の故郷帰還の要求を徹底的に押さえつけてきました。国際会議の議題にすることさえ、拒否するほどの徹底ぶりです。そして、パレスチナの土地に帰ろうとして、イスラエル軍に立ち向かうアラブ人は「血に植えたテロリスト」と決めつけ、敵視します。これが、2001年の9・11テロの背景にあります。宗教的な面もたいへん強い要素ですが、これは、到底ここでh会説明しきれないので、割愛します。
アメリカには、ユダヤ系が600万人も住んでおり、彼らは、メディア、映画産業などで極度に大きな存在です。彼らは、イスラエル支持では一貫しており、政治や大衆文化に与える影響は巨大です。ユダヤ系を敵に回しては、政治家は選挙で勝てない、ともいわれます。
映画や大衆的な小説でも、アラブ人は、常に「テロリスト」として登場させられます。シュワルツェネッガーの「トゥルーライズ」などなど。そこでは、そのアラブ人がなぜそういう行動を取るのかは、説明されません。映画を見た人は、「アラブ人というのは、生まれつき人殺しなんだな」と思う。ですから、アメリカ政府がアラブ国家を相手に戦争するとき、世論は有利に動きます。イラク戦争でもそうです。こういうアラブ人敵視の背景には、人種偏見もあります。ユダヤ人には欧州的な白人が多いのに比べ、アラブ人は、人種的にはコーカサス人種(白人)に属しますが、暑い地方に住んでいることもあり、メラニン色素が多く、褐色の人が多いからです。
ここまでは、この「ジャッカル」という映画とは関係。
関係ないことをそんなに書くな? ごもっとも。
次は、アイルランド系テロリストの場合。なぜにくまれないのか。
この映画、FBI(アメリカ連邦捜査局)が、「悪いテロリスト」?(ブルース・ウィリス)をやっつけるために、獄中にいる「いいテロリスト」(リチャード・ギア)に、協力を依頼します。なんだそりゃ?! と思うでしょう。ギアが演じるテロリストは、英国の支配からアイルランド北部(北アイルランド)を解放するため、テロで闘ったIRA(「アイルランド共和軍」という武装組織です)の闘士デクラン。
えっ? イスラエルと闘うアラブ人闘士は、「悪役」で、イギリスと闘うアイルランド人闘士は「善玉」? 殺人で投獄されているのに、FBIが協力を呼び掛けるの?
そうなのです。アメリカ人にとって、同じように。警官や兵士を殺したり、時には市民を巻き込む爆弾テロなどを仕掛けても、アイルランド人は共感されるのです。なぜか。アメリカに、アイルランド移民の子孫がたくさんいるからです。彼らは、やり方に不満はもっても、アイルランド人が支配者のイギリス人と闘うとき、理屈抜きに共感と同情を感じてしまうのです。ケネディは100%アイルランド系、レーガンも、クリントンも、アイルランドの血が入っています。
アメリカ映画では、アイルランド人「テロリスト」がどう描かれるか、という視点で、様々な映画を見ていくと、とても面白いでしょう。卒論のテーマにもなりそうです。
映画と政治は、密接不可分です。波津ゼミの国際問題研究会メンバー及び、メディア研究会メンバーは、この映画見て下さい。




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