サイエンス・アラート  ー太陽磁場の4重極化を観測、太陽の異常性と気候変動への影響を検証する大チャンス

この度、国立天文台と理化学研究所が「太陽極域磁場の4極化」の観測に成功しました太陽活動が地球に及ぼす影響については様々な研究が行われていますが、その成果はまだ良く知られておらず、誤解に基づいた解釈も見受けられます。この現象が地球にどのような影響を及ぼすと考えられるのか、専門家にコメントをいただきました。

国立天文台プレスリリース http://www.nao.ac.jp/news/science/2012/20120419-polar-field-reversal.html

理化学研究所プレスリリース http://hinode.nao.ac.jp/news/120419PressRelease/

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◆矢治 健太郎(やじ・けんたろう) 特任准教授 立教大学理学部

今回太陽観測衛星ひのでが太陽極域磁場が反転する様子を捉えました。この反転に伴い太陽の全体的な磁場が4重極磁場になることが予想されています。新聞の報道等では4重極磁場とその影響による地球の寒冷化を強調した内容となっています。しかし、その前提となるひのでの観測成果として、極域の磁場観測の重要性があまり触れられていません。これまでも、ひので衛星の観測から、太陽活動における極域磁場の重要性が指摘されていました。以前は磁場が強い黒点の観測を重要視してきました。  また、太陽の正面を観測するのと異なり、極域の観測は難しいものがありました。ところが、ひのでの高空間分解観測により観測が難しかった極域の磁場も精密に観測できるようになり、極域にも強い磁場があることがわかってきました。太陽の表面には黒点に代表される局所的な磁場構造が多くあります。しかし、全体を一本の棒磁石としてみるとN極とS極とを結ぶ大きな磁力線構造が見られます。従って、極域の磁場は太陽の磁場構造を知る上で重要になってきます。

さて、ひのでの詳細な観測結果によって、S極の成分が多かった北極にN極の磁場が増えてきました。その磁場反転を捉えたのが今回の大きな発見として発表されました。極域磁場は太陽活動が活発な時期である極大期に反転するとみられていましたが、そのタイミングが二年ほど早まったと考えられています。  さらに、北極はS極からN極へと変わって来ましたが、南極はN極のままで変化がなく、北極と同時に変わっていません。通常の磁石はN極とS極とが双極構造になっているわけですが、このまま進むと北も南も同極のN極になります。すると、両極のN極から出た磁力線が赤道付近のS極と繋がって4重極磁場構造になるのではないかと予想されています。これはひのでによる極域磁場の継続的な詳細観測によって可能となった重要な研究成果といえます。加えて、黒点の活動から、通常の太陽活動周期は11年なのですが、太陽活動周期が12.6年に延びたため、太陽活動極大期が遅れることが予想されています。

この活動周期の変化と極域磁場の変化がこれまでにない太陽活動の異常性を示していると言えます。かつて、17世紀(1600年代)後半に黒点がほとんど観測されなかった時期がありました。これをマウンダー極小期と呼んでいます。その時には世界的な寒冷化が報告されています。現在の活動周期の伸び、極域磁場の反転が早まったことは17世紀後半の状況に似ています。そこで、同じくらいまでとは行かないまでも今よりは寒冷化するのではないかと予想されています。

これは、「来年にも地球の気温が下がる」とか、「太陽の温度が下がる」ということではありません。こういった太陽の磁場構造の変化が地球の気候になにか影響をおよぼすのではないかと考えられています。過去にも太陽活動と地球上の気温の変化の相関が何度か報告されています。今はひのでを始めとする観測機器が発達していますので、太陽の異常性と地球への影響を研究する大チャンスと言えます。  今後、実際に太陽磁場が4重極化するのか?そのとき、太陽風の強度はどうなるのか?すると、太陽系外からやってくる宇宙線の強度は変わるのか?宇宙線は地球上の雲の生成に影響を及ぼすと考えられています。雲の生成は地球気候と密接な関係があります。以上から、太陽活動は地球の気候変動と関係があるのではないかと言われています。今後この状態が続いた場合に太陽風の強度が変わるのか、宇宙線強度が変わるのか、地球の気温がどう変わるのかを長い目で見なければなりません。そのために今後もひので衛星などによる継続的な極域の観測が重要になってきます。

今回のプレスリリースでは、太陽の異常性と気候変動への影響を検証する大チャンスとして、今回の太陽磁場の4重極化の可能性を発表したのではないかと考えられます。とは言っても、17世紀後半では黒点がほとんど観測されなかったのですが、現在は大きな黒点群も出現していますし、昨年から巨大太陽フレアもたくさん観測されています。だから、そこまで太陽活動が下がっているわけではなく、あくまで過去と比較して下がっているというだけです。

ただ、この太陽磁場の変化によもない、今後の黒点や太陽フレアの太陽活動が低下するのかどうかは、個人的には非常に興味があります。今後10年たって、もし地球が寒冷化の徴候を示すのであれば、今まで相関関係でしか分からなかった太陽活動と地球の気候変動の関係が、様々な観測結果から物理的に説明できるのではないか。また、もし逆の事が起こればどうしてそうなったのかと考えるきっかけになります。ですので、引き続き、今後の太陽の観測と地球気候の変化に注目してほしいと思います。

(科学を伝えるひとをサポートする」ことを目的とした組織、一般社団法人サイエンス・メディア・センター(SMC) http://smc-japan.org/ が発行する「サイエンス・アラート」の転載です。)

Tel: 03-3202-2514 Fax: 03-3202-2497  E-mail: smc@smc-japan.org

 

 

ビッグイシュー、最新号発売中 -特集は韓国の社会的企業

ホームレスの人が販売する雑誌「ビッグイシュー日本版」(THE BIG ISSUE JAPAN)最新号(月2回発行)が発売中です。

特集は「いま、社会的企業。韓国の現場から」です。(以下、ウェブサイトから)

今、「働きがいのある仕事」をつくることが、世界中で課題になっている。韓国では、5年前「社会的企業育成法」が施行され、これまで500をこえる企業がつくられてきた。(※) これら韓国の社会的企業は、貧困対策とともに、失業などにより社会参加ができていない若者たちの居場所づくりをも担っている。そこで、若年層の失業問題を、仕事をつくることで解決しようとするハジャセンターの社会的企業や、「リサイクル文化」を定着させたといわれる「美しい店」を取材した。また、共働き夫婦の必要から生まれ、今や一つのコミュニティを形成する「ソンミサン・マウル」、居住福祉を担う「コルモクパラム(路地の風)」、住宅を省エネ化する「トゥッコビ・ハウジング」、世界一のトイレ文化を目指す「学校環境改善支援センター」やインキュベーション・センター「シーズ」にも話を聞いた。法施行から5年。全泓奎さんに今を語ってもらった。若者が人々とつながり、楽しみながら社会的企業を生む秘訣を探った。 ※社会的企業とは、ビジネスの手法と戦略で、当事者とともに社会問題の解決にチャレンジする企業のこと。

販売場所を検索してみたい方はー。

http://www.bigissue.jp/sell/index.html

目次は次のようになっています。

 リレーインタビュー 私の分岐点  ミュージシャン  ピエール瀧さん

スペシャルインタビュー  エミリー・サンデー

アーバンファーミングの時代がきた! 路上で、廃虚で、水上で農業

ノーンギシュの日々  滝田 明日香

真のマサイの戦士とは? ― ライオン殺し 1

ストリート・エコノミックス  浜 矩子

通貨の足は太くて短いのがベスト

WORLD STREET NEWS  世界短信 「フェアトレード」

ともに生きよう!東日本  被災地から(24)

東電・加害者が罰せられる社会をつくる ― 「福島原発告訴団」原発事故責任者の刑事告訴へ

原発ウォッチ! 伴 英幸

再処理の中止を求めて

特集:生きる風景

対談  宮本亜門さん × 東田直樹さん

人は誰かに必要とされて幸せになる。  ”演出という道具”、”障害者という一つのかたち”を互いに使って、ともに世界を広げよう

発達障害は非定型発達、それ自体は病気ではない

山登 敬之さん

世界の当事者になる  雨宮 処凛

自信の鉱脈

自閉症の僕が「生きていく風景」  東田 直樹

僕にとって、本はかけがえのない友人

CDレビュー  浅井 博章

春に迎える、カリスマロックミュージシャンたちの命日に   ― 忌野清志郎、hide、尾崎豊、華月

クリエーターの視点  フォトジャーナリスト  小原一真さん

テレビうらおもて  伊藤 悟

まだまだ「キワモノ」としてテレビに消費されるゲイ

ひぐらし本暮らし  岡崎 武志

『漱石の「こころ」』角川ソフィア文庫

COOKING  枝元なほみ

うど二種

第3回「若者ホームレス支援ネットワーク会議」

貧困、障害、ひきこもり、すべての問題は地続き。  家を失ったある時点で「ホームレス」になる

YOUR ISSUE ― あなたのオピニオン

FROM THE STREET ― 街角と販売者

■ホームレス人生相談  のびのびと育てたいのに母親が育児に口出ししてきます

■コミック  エモ!言われん  あの気持ちはどこへ

■路上から

■今月の人

「がんばる」よりも今は「あきらめない」ことが大事。「販売」も「復興」も

FROM EDITORIAL 編集後記

 

 

 

福島から 太陽光発電で女たちの農産加工を! 原発の足元で「原発いらない」を発信

5月5日、全国の原発がストップした各地で原発廃炉に向けてのさまざまの行動が取り組まれているが、同時に地域ではくらしや生産活動の足元から「原発に頼らない」世界をつくろうという試みが地道に続いている。福島県三春町では地元の農村女性グループの“小さな農産加工”を太陽エネルギーでまかなおうという実践が取り組まれ、間もなく発電が開始される。市民グループ「福島・農と食再生ネット」(西沢江美子代表)が村の女たちと取り組んでいるもので、原発の足元からの「原発いらない」の発信となっている。

三春町は福島第一原発からほぼ50キロの地点にある。阿武隈山系がつくるなだらかな丘陵地帯の一角にあり、郡山市、田村市と境を接している。原発爆発直後の風向きと地形の関係で、近隣地域と比べ放射線量は低いが、それでも農作物や農産加工品は敬遠されて売れ行きは落ちている。

女性や高齢者の農家がになっている”小さな生産・加工・直売“には観光客の激減というもう一つの打撃が加わった。日本三大桜のひとつである三春の滝桜を訪れる人が激減したのだ。毎年春にはお花見の人たちが数十万人訪れ、農家の女性たちはその観光客を目当てに多種多様な作物やお花を作付けし、それをもちやまんじゅうその他のものに自家製加工して、直売所などで販売していた。花見客の激減でせっかく準備したそれらの産物がはけなくなってしまったのだ。

こうした“小さな生産・販売・加工”に取り組んでいるのは60歳代、70歳代の高齢女性が多い。わずかな国民年金と合わせて、暮らしを支えてきていた。その暮らしを原発が奪ってしまったのだ。

そんな中で「福島・農と食再生ネット」(以下、再生ネット)は、3・11から3週間後、首都圏のNGOや市民グループと手を組みながら、地元の農業女性とのつながりを強め、2011年夏にはこれまでここに生産から直売、加工の取り組んできた女たちが地域を軸に集まり、芹澤農産加工グループ(会沢テル代表)を立ち上げた。中心は60歳代、70歳代の女性とその連れ合い13人で構成されている。72歳になる会沢代表は農村女性の運動の先頭で活躍してきた人で、原発事故の後、それらの役職を引いた彼女は、もう一度地域から同じ農業女性仲間と、地域で生きるための活動を始めたのだ。会沢さんは、この春三春を訪れた「再生ネット」や首都圏のNGOの人たちに次のように語った。

「原発事故のもとで、目に見えない放射能とのたたかいに疲れ、何もかも投げ出したいと皆が思っていた。しかし、私たちの活動を支える人たちに出会え、この地で、くらしてきた人たちがこの風土の中で生き、歴史を重ねて伝えてきた農のくらし、食の文化を次の世代に受け渡さなければ、と思うようになった」

放射能のもとでの生産と加工だから、安全性には十分気をつけている。三春町は原発の爆発の直後に町長の決断で40歳以下の全町民にヨウ素剤を配布、服用させた。食品の放射農検査体制もいち早く手をつけ、複数台の測定器を導入、三春を管内に持つJAたむらが導入した検査測定器を合わせ、全生産物を無料で検査し、細かい数字まで本人に知らせる体制をとっている。町の女性グループの要求に沿って、学校給食専用の測定器をいち早く整備した。町が運営し、小さな生産・加工に取り組み地域の女たちが出す生産物引き受けて直売している町運営の「三春の郷」を名付けられた直売所は、昨年の早い段階で1キロあたり20ベクレルを超えるものは販売しない方針で臨んでいる。

この芹澤農産加工グループの活動を支えるため、「再生ネット」は大型の冷蔵・冷凍庫を支援、続いて農産加工に使うエネルギーを太陽光発電でまかなおうと計画した。「原発に足元で原発に頼らないくらしをつくりたい」とこの構想を提案したのはやはり地元の女たちだった。

太陽光発電建設工事は2012年3月から始まり、5月段階ではほぼ完成、あとは通電するだけになっている。こうした冷蔵・冷凍庫や太陽光建設を支えてくれたものに、大阪の生コン建設労働組合(全日建連帯労組関西生コン支部)の存在がある。   同労組は2010年、139日間のストライキを組んで、大手ゼネコンとたたかい、一人平均月7000円の賃上げを獲得した。その賃上げ一年分約10万円を震災復興に拠出することを組合決定した。その支援先のひとつが、三春の女たちのグループだったのだ。「再生ネット」はこの関西生コン労働組合の支援をベースに、広くカンパを募り、建設に乗り出した。

発電所のあらましを紹介すると――

【芹澤農産加工グループ太陽光発電について】

発電能力  5kw/時 余った電気は東北電力に売却

資金  関西生コン労組からの支援金と多くの団体・個人のカンパ。

協力  関西生コン労組/東日本大震災「つながり・ぬくもりプロジェクト」/自然エネルギー事業協同組合レクタス/北京JAC

目的  農産加工グループの農産加工用に使う

太陽光発電に取り組む意義

1、 原発に頼らない日々の営み(生産とくらし)を目に見える形で作りあげる。

2、 「原発いらない」の意思を足元のくらしから発信する。

3、 農山村を自然エネルギー基地とし、経済活動に結ぶつけるささやかな試みでもある。農業生産のエネルギーを自給する農民発電のモデル事業と位置付ける。

かつて、農山村は食だけでなく、薪、炭で都市のくらしを支えるエネルギー生産地でもあった。原発後の時代に、食とエネルギーをもち、地域として自立することの“強み”と“豊かさ”をつくりあげる運動だと「再生ネットの西沢代表(ジャーナリスト)は語っている。(日刊ベリタより)

ビッグイシュー日本版が、東京でインターンを募集中

ホームレスの人が販売する雑誌「ビッグイシュー日本版」が、東京事務所でインターンを2名募集している。

以下はウェブサイトから

東京事務所にて、インターンを2名追加募集します。

販売サポートスタッフの様々な業務をサポートしていただくインターンを募集します。

(1)業務内容: ホームレスの人々が、ビッグイシューをより効果的かつ継続的に、路上で販売するためのサポート(雑誌販売のサポート業務全般、ポスターやチラシの作成など)

(2)募集人員: 2名(20歳以上)     5月から勤務可能な方 2名

(3)勤務期間: 2012年5月25日前後~2012年11月30日(約6ヶ月間)

(4)勤務条件: 平日を含む週2日以上(または、週15時間以上)

(5)勤務地: ビッグイシュー日本  東京事務所    東京都新宿区住吉町8番5号  シンカイビル201号室(地下鉄  都営新宿線曙橋駅A2出口  徒歩2分)

(6)手当: 交通費全額支給(上限  往復1500円,定期区間外に限る)、保険に加入していただくことも可(別途500円)

(7)応募方法: 以下の内容をメールにてお送りください。一週間以内に、担当より折り返しご連絡申し上げます。

①お名前、ご住所、電話番号、メールアドレス、所属

②履歴書(写真不要)

③作文: 「志望動機」または「ビッグイシューで実現したいこと」(800字程度)

・あて先: hanbaitokyo@bigissue.jp

・件名: インターン応募

(8)締め切り: 2012年5月20日

ビッグイシュー日本東京事務所では、これまで様々なインターンを受け入れてきました。  販売者の方やスタッフとコミュニケーションをとりながら、明るく誠実にサポートしていただける方をお待ちしています。

ビッグイシュー日本版サイト

http://www.bigissue.jp/index.html

 

 

「若者ホームレス白書」②、発行 ーなぜ、若者ホームレスが生まれるのか

ホームレスとの人が販売する雑誌「ビッグイシュー」の発行元が、若者ホームレス白書②を発行しました。白書は独立行政法人福祉医療機構の社会福祉振興助成事業で作成したものです。(以下、ビッグイシューのウェブサイトより)

ビッグイシュー基金では、若者ホームレスの抱える課題と支援方策をまとめた若者ホームレス白書(2010年12月発行)に続き、2012年3月30日、若者ホームレス白書②を発行しました。 「なぜ、若者ホームレスが生まれるのか?」「若者をホームレスにさせない」「市民とともに考える若者ホームレス問題」というテーマで若者ホームレスのインタビューや支援策をまとめています。多くの市民の方に手にとって頂き、若者のホームレス化を予防できる社会をつくりたいと思います。若者ホームレス白書は無料(郵送料のみご負担)で差し上げます。

*若者ホームレス白書①も増刷し無料配布します(郵送料のみご負担)。

●ご希望の方は下記のフォームよりお申込みください。   http://goo.gl/oiE2l

●PDF版は「若者ホームレス白書」「若者ホームレス白書②」ともに、   こちらのページよりダウンロードできます。http://www.bigissue.or.jp/program/index.html

 

ー白書の発行経緯とは?

 2008年の世界同時不況以降、今までは仕事に就くことができていた20~30代の若者が路上生活を余儀なくされるというケースが急増し、ビッグイシューにやってくる人たちの多くは50歳代から30歳代へと急降下しました。  若者ホームレスの問題は、日本のホームレスの人々の低年齢化にとどまらない深刻な問題をはらんでいます。それは、まず、ホームレス問題が象徴した貧困問題が 若い世代へも広がり、さらに深刻化しているということです。そして、社会が未来の担い手でもある若者を排除することで、社会はその担い手と未来を失うこと につながります。

また、若者ホームレスを路上に放置し続けることは、彼らを肉体的、精神的に追いつめ、心の病や自殺や麻薬犯罪などに近接させ、反社会的存在にしていくことにつながりかねません。

ビッグイシュー基金ではまず2008~2009年度にかけて現状を把握するため、20~30代でホームレス状態にある若者への聞き取り調査行う一方で、カウンセリングやコーチングといった心の支援をする仕組みの導入などに取り組み始めました。

そして、2010年度には20~30代のホームレスの方50名の聞き取り調査をまとめ、その上で、有識者や活動家による若者ホームレス支援方策検討委員会を組織しました。そこでは、若者ホームレスの存在を理解し、一刻も早く彼らを路上から脱出させることができるような方策を検討し、結果を「若者ホームレス白書」という小冊子(B5版/32ページ)にまとめました。

そして、この問題を広く市民に知ってもらうために、まずはこの「若者ホームレス白書」を1万冊、無料で配布いたしました。(2012年に発行した1万部の配布は終了しましたが、2012年4月より増刷分を再配布しています)

また、2011年1月10日に聞き取り調査を行った飯島裕子さんとビッグイシュー基金の共著で「ルポ若者ホームレス」(ちくま新書)より発行されました。

2011年11月からは、3回にわたりホームレス支援団体をはじめ、障害、社会的養護、ひきこもりなど、さまざまな現場で若者を支援する専門家や市民と「若者ホームレス支援ネットワーク会議」をおこない、若者ホームレスの支援と予防について議論を交わしてまいりました。その内容を広く市民のみなさまに知っていただくため「若者ホームレス白書②」としてまとめ、4月15日より無料配布しています。   若者ホームレスのとなった方々が、日本の多くの若者とともに、これからの社会の担い手となれるような道筋と諸方策について引き続き検討をしてゆきたいと考えています。 皆さまも一緒にこの問題について、考え行動していただければ嬉しいです。

 

 

 

グローバルな視点を持つには、日本の教育改革は不可欠 y-monkey

12.05.03 by   カテゴリー: 日々の出来事, 日本

ただ単にボーッとして買い物をするのではなくて、「誰が一番儲けているか」を考えるだけで、消費のスタイルは随分変わってきます。

例えば、マクドナルドや100円ショップで買い物をした時。どうしてあれだけ安価な商品を作り出せるのか、手を止めて一考してみる。発展途上国の環境を破壊し、現地の住民をどれだけ苦しめているのか?想像できますね。

「持つ者(haves)」である我々先進国に済む人々は、グローバリズムを常に考慮しながら消費活動をすることが今後ますます求められてきます。一杯のコーヒーのためにどれだけの児童が学校にいけなくなっているか。考えるだけでも世界はおのずと良い方向に導かれていきます。

こういったことを繰り返していくうちに世界全体の搾取構造は崩れていくような気がします。もちろん単純な問題ではありません。しかし現代、特に日本ではそういった議論があまりにも少なすぎます。

スターバックスのフェアトレード・コーヒーで満足せずに、もっと範囲を広げて考えることが求められてきます。こういったことを考える機会は義務教育にはありません。皆無です。強いて言えば世界史でしょうか。「アフリカ・東南アジアはヨーロッパ列強の植民地支配下にあった」。

これだけですね。  これだけの少ない情報から、どのように世界全体を考えるのか。私には甚だ疑問でなりません。

こういった学校教育の空洞が起こるのは、Ken Robinson氏が指摘する(http://see.sc/96ioBr)ように「失敗を否定する」教育が義務教育全体をかき混ぜてしまっているのではないかと思います。   多様な考え方を許容せず、教科書通りの考え方をベースにすることを極度に好むこの国の教育構造は違和感があります。主体性のある生徒でなければ息が詰まる様な教育がなされている。そしてこの流れは「大学ありき」の方向へも導かれてしまいます。

しかし、別の見方をすることも可能です。(これは多くの反対意見が寄せられそうですが)それは文科省からのメッセージです。「義務教育とは人間が生きていくために最低限のことを教えているまでだ。本当に大事な部分は義務教育ではできない。君たちが自分で切り開いていくんだ。」というものです。   自分で書いていて馬鹿馬鹿しくなってきたので、この説の展開はやめておきましょう。それほど日本の教育とは未熟な部分が多すぎるということです。

そしてもうひとつ日本の教育を「大学ありき」にしてしまっているもうひとつの理由は予備校の存在も関係しています。異常なまでに有名大学の優越性をプロパガンダして、まるで偏差値が高ければその分だけ人生は成功するなんていう風に思い込ませている。

大学のことを深く知らない中高生は特にそのメッセージを間に受けやすい。そうやって「とりあえず有名大学に入ればそれでok」なんていう短絡的な考え方が生まれてしまう。これは非常に悲しい事です。   大事なのは東大か京大かではない。早稲田か慶應かではない。自分がいかに現代に対して問題意識を持てるか、ということです。

「主体性を持つ」 これが最も重要なことであって、どのような道を辿ってきたかではない。そう思います。(サイト「ymonkey」より http://y-monkey.blogspot.co.uk/)筆者のツイッター:@Watalogy)

 

被害者対応、何が悪かったのか

ゴールデンウィークが始まったばかりの日曜朝に、関越での大事故の報に接したテレビ画面では、ディズニーランドに向かう観光客を、少し前まではたくさん乗せていたバスが、高速道路わきの壁に突き刺さっていた。既に7人が死亡しているという。このように最近、交通関係の悲惨な事故が続くと、大して信仰心が深くなくても「これは神の啓示か」と考えたくなる。物事を動かす立場の方々が、何も感じず何も改善方向に動かないとしたら、恐ろしい。

京都・亀岡の事件でも、さらにもう1名の児童が亡くなったそうだ。この事件に関して、被害者の了承もなく死傷者10名の連絡先や生年月日などのリストを作成して地元警察署の交通課係長が加害者父に渡し、警察側が謝罪に追い込まれていた件は、問題発覚のきっかけとなった保護者女性の携帯番号だけについては、警察ではなく、小学校教頭を通じて加害者側に伝わっていたのだという。前回の文章脱稿後の報道で知った。

加害者父は、メディアに対して「警察からもらったリストに保護者女性の番号だけなかったため、知り合いを通じて教えてもらった」と答えたという。亀岡署が渡したリストは既に加害者父からは回収されたが、そのリストには、もともと空欄だったところに亡くなった女性の携帯番号や告別式の日程が手書きで書き込まれていたのだそうだ。

死亡女性の携帯番号は確かに教頭からの情報なのだろう。でも、だからといって死傷者10名の詳細なリストまで作成し加害者側に渡した警察の責任は、それで変わるものではないことは確認しておきたい。

ここまでの一連の報道を見て「被害者の肩を持つ」と宣言してこのブログを書いている私が気になったのは、「加害者が連絡先を求める気持ちもわからないではない」と同情的に言う人がいたこと、「被害者と加害者のどちらを保護すべきなのか」との投げかけがテレビでの議論の際に司会者によってされていたことだ。また、「何がいけないのかわからない」雰囲気でコメントをしているコメンテーターも散見された。

<自分だけ謝罪できればそれでいいのか>

まず、「加害者が連絡先を求める気持ちも分からないではない」について。被害者の支援者としては拙いが、私なりに書いてみたい。

27日朝のテレビでは、未明に会見したという小学校の教頭が不明を恥じ、謝罪する様子が放送されていた。その時に加害者の伯父という人の「こちらが謝罪も何もしないでいては許されないと思った」といった発言も放送されていた。つまり、加害者側としてもそれなりに必死にツテを探して連絡先を入手したということで、それに警察も小学校もほだされてしまったということなのかもしれない。

加害者の父が死亡女性の携帯番号を入手していたことについては、テレビ朝日でコメンテーターとして出演していた吉永みち子氏が「大きな事故でも、『個人情報を盾に警察が入院先を教えてくれないから被害者のご家族がいくつも病院を探し回った』という行き過ぎた個人情報保護の問題を聞くようなこのご時世に、この加害者だけがどうして被害者の情報をこうも簡単に入手できたのか。何か特別なものでもあるのか」と疑問を呈していたが、私も「大した取材力だ」と変な感心をしてしまった。

しかし、被害者の心情も顧みず、自分だけ形だけでも謝って楽になれればそれでいいのだろうか。なぜ、被害者を思いやり、事故直後の嵐が通り過ぎるのを待ち、謝罪したくても謝罪できない苦しさに耐えることができないのだろう(遺族に言わせれば、家族の命を奪われることに比べたら、謝罪できないぐらいは、苦しみでも何でもないかもしれない)。

少し想像力を働かせれば分かるはずだ。加害者は、今回のケースでは被害者側にとっては「殺人者」に他ならないと見られている。一方的に家族が「殺された」ような被害に遭い、まだ日も浅いのに、どうして被害者側が、加害者側の関係者の顔を見たり声を聞くような我慢を強いられなければならないのか。

もちろん、ゆくゆくは謝罪に出向きたいと例えば警察に伝え、「間接的に意思を示す」ことはあっても良かったと思う。なにしろ、時期が悪い。

伯父は「謝罪をしなければ許されない」と言っていたが、通り一遍の謝罪を今の段階でしたって、到底簡単には許してなんかもらえない。それだけ、人の命を奪うということは重いことだ。不倶戴天という言葉がある。この事件ではないが、加害者とは同じ空気を吸いたくないと言う被害者も多くいるぐらいなのだ。

事故直後で、遺族の心は、ぱっくり開いた傷口から血がまだ滴っている。この人たちの心を鎮めることなど、この時期に誰にできるだろう。正解はないだろうが、そこに加害者が無理に謝罪と称して接触を図れば、余計に「許されない」状態に陥ってしまうだろう。加害者側の意図とは逆に転ぶ。

だから、コメンテーターの方には、「加害者が連絡先を求める気持ちもわからないではない」に続けて「しかし、方法も最悪だし、少なくとも被害者の心情を尊重して時期を見るべきだった」ぐらいにはコメントしてほしかったと思った。

<死亡女性の携帯は、今は「形見」>

次に、「方法が最悪」とも同じだが「何が悪かったのかわからない」について。交通課係長と小学校教頭。彼らは何が責められているのか。「事故当事者の連絡先は当然に教えるものではないか」という疑問もあるようだ。

亡くなった女性の父親は、「加害者の方は少年法で名前が出ないのに、被害者の方だけ名前が出る」「こちらは誰に殺されたかも分からないままに葬儀を出さなければならない。その気持ちが分かるか」とテレビで訴えていた。当然ながら、大切な遺品ともいえる、亡くなった女性の携帯の番号を教えることについて、この父親も夫も了承していないとも言っていた。この段階では警察が漏らしたと思われていたので、「警察に裏切られた」とも言っていた。

つまり、「一番加害者には触れられたくない大切な情報が/被害者を守るべき立場の人の手によって/被害者の知らないところで/一方的に」加害者側に伝わったと被害者は感じたのだ。これは不公平で不当だと感じても当たり前ではないのか?

亡くなった女性本人の携帯は、前述の通り、今や存在の意味が変わった。家族にとっては大切な「形見」だ。そこに加害者側の着信履歴なんか残したいと誰が思うのか。それなのに、番号を教えた小学校教頭は、その意味の変化が分かっていなかった。教頭の中では単なる携帯番号だから、簡単に教えたのだろう。

これが夫や父親の番号だったら、事前了承がないのは不快だったにしても、ここまでの心情的な反発は引き起こしはしなかったのではないか。遺族の番号ではなく、伝わったのが亡くなった女性の番号だったというのが、あまりに遺族の心情を逆なでする無神経な仕打ちだと言え、当然の怒りだと思う。

「事故当事者の連絡先は当然に教えるもの」と、警察が死亡女性の携帯番号を伝えたとされた当初報道を是認した疑問にも、「女性本人の携帯」がはらむ「遺族にとっての意味の変化」を見逃しているから出てくるのだろう鈍感さを感じた。もう、単なる連絡先ではないのだ。

<許されない一方通行>

これが遺族の番号だったとしても、何度も指摘されているように、遺族は被害者情報の伝達を了解などしていない。他の9人については不明だが、少なくともこの死亡女性の遺族は、報道に見る通り、問題発覚時は加害者情報を何も知らされていなかった。

今は被害者情報を保護する意識や、被害者への連絡制度が警察にも広まっていると思っていたが、その流れに乗っての加害者情報を被害者に教える一方通行ではなく、今回は被害者情報を加害者側に伝える一方通行がなされたのだから、私には驚きだ。「警察に裏切られた」と被害者遺族に思われても仕方ないだろう。

さらに譲歩して考えても、事務の関係上必要で「事故当事者の連絡先を教える」なら、最低でも「双方に同時」に伝達されるべきだった。そして、伝える情報は、被害者が認めた連絡先にするべきだった。

1996年の「被害者対策要綱」の策定以降、「被害者保護」は「捜査」と並ぶ2本柱と称されているのだから、警察は明らかに被害者保護の任にある。だったら、①警察が責任を持ってきちんと加害者側の連絡先を被害者側に伝え、②「手続き関係でも必要になるから」などと丁寧な説明の上で被害者側の連絡先伝達についてしっかり了承を求める必要があっただろう。

そうしていれば、被害者の加害者に対する怒りはあったにせよ、「事務的なことで致し方ないもの」との理解が生まれる余地もあったかもしれない。被害者の警察への信頼は、こうまで失われなかったのではないかと思う。

そして、小学校の教頭にも、常識的に考えれば被害者への積極的な保護を期待したいものだが、それが万一無理だとしても、せめて教育者として中立を守る務めがあったのではないのか。中立の仲介者として、被害者側の了承を事前に求め、その段階でどの番号ならば伝えてもいいのか許可を求めるべきだった。被害者側が「いやだ」と断れば、伝達役に徹して「嫌だそうです」と加害者側には伝えるべきだった。何も難しいことではない。

<保護すべきはどちら?>

最後に、「被害者と加害者のどちらを保護すべきなのか」との投げかけについて。この言葉は、ある番組の司会者がコメンテーター陣に問いかけていた。

議論を活性化させる目的や、逆説的に「加害者なんかより被害者でしょう」と言わせる意図があったと思いたいが、犯罪被害者等保護法や被害者等基本法が国としての答えを既に出している中で、大真面目に天秤にかけていたとしたら、感覚を疑わざるを得ない。「過失割合6対4ぐらいの物損事故」程度に今回の事故を考えているのだろうか。

そのような物損事故なら、形式的に加害者・被害者が分かれていたとしても、実質的には当事者として同等に扱えるものなのかもしれない。しかし、今回のような一方的な悲惨な事故は、被害者の受け止め方は「殺人事件」であり、どう見ても違う。

憲法上や司法制度上で「対国家」を考えて加害者権利が保障されてきた「国と加害者」二者間の問題と、「国・加害者・被害者」の三者間の問題とを混乱して考えているのかもしれない。二者間の話ではなく、加害者が比べられる相手が被害者の三者間の問題ならば、被害者に対して、既に加害者がどんな重大な人権侵害を与えたかをよくよく頭に入れれば、どちらを優先して保護が与えられるべきかは自ずと分かるはずではないのか。

それを後から、事件事故によって生じた人権侵害のマイナスポイントに目をつぶって被害者と加害者を表面的に平等に扱おうとすれば、まるで江戸時代の喧嘩両成敗のように、実質的には、既に損害を被っている被害者側のマイナスは残る。大いなる不公平をはらむものとなってしまう。

国家として自ら侵害することになる被疑者・被告人の権利を自らの責任で法的に手当てするところが先行し、その傍らで被害者が打ち捨てられていたことに、20世紀も終わりごろになってやっと国は気づいた。国が法で自らの手足に枷をはめなければ明らかな不公平が生じる二者間での加害者の権利の場合と異なり、被害者の方は、国が積極的に法整備せずとも、常識で考えれば社会や民間人が勝手に保護や援助の手を差し伸べるだろうとの考えもあったのかもしれない。

しかし現代では、相互扶助の意識などは薄れてしまい、被害者は十分な援助や保護が得られないままだった。その反省から、国が民間とともに遅まきながら被害者保護に乗り出し、制度を整える努力の途上にあるのだとの理解を、私はしている。国費の投入の程度は、まだまだ加害者側に比べて大きく水をあけられているが。

結局、個人としては、人は素直に本来の常識に従えばいいではないか。倒した人A、倒された人Bがいたら、倒された人Bを私たちCは気遣うはず。社会が先んじていたわり、保護すべきは、事故や犯罪といった社会のひずみを私たちの代表として経験させられている、被害者の方だ。(ブログ「ネコといっしょに七転び八起き」より)

ビッグイシュー最新号 ー特集は「生きる風景」-人気コラムニスト東田直樹さんと演出家の宮本亜門さんの対談

ホームレスの人が販売する雑誌「ビッグイシュー日本版」(THE BIG ISSUE JAPAN)最新号(月2回発行)が5月1日から発売されます。

特集は「生きる風景」です。

 本誌の人気コラムニストである東田直樹さんと演出家の宮本亜門さんの対談が実現しました。二人は、「愛する”海”のこと」「ひとりであること」「生まれてくること」「生きること」などについて語り合いました。重度の自閉症である直樹さんの言葉と、少年の心もつ亜門さんの言葉が出合った感動的な対話をお届けします。また、発達障害は病気ではないという山登敬之さん(精神科医)に、臨床現場を通した子どもたちを中心に、人間の発達と教育についてお伺いしました。さわやかな5月の風にふかれながら、人間の可能性を感じる特集をあなたに。

販売場所を検索してみたい方はー。

http://www.bigissue.jp/sell/index.html

目次は次のようになっています。

リレーインタビュー 私の分岐点  ミュージシャン  ピエール瀧さん

スペシャルインタビュー  エミリー・サンデー

アーバンファーミングの時代がきた! 路上で、廃虚で、水上で農業

ノーンギシュの日々  滝田 明日香

真のマサイの戦士とは? ― ライオン殺し 1

ストリート・エコノミックス  浜 矩子

通貨の足は太くて短いのがベスト

WORLD STREET NEWS  世界短信 「フェアトレード」

ともに生きよう!東日本  被災地から(24)

東電・加害者が罰せられる社会をつくる ― 「福島原発告訴団」原発事故責任者の刑事告訴へ

原発ウォッチ! 伴 英幸

再処理の中止を求めて

特集:生きる風景

対談  宮本亜門さん × 東田直樹さん

人は誰かに必要とされて幸せになる。  ”演出という道具”、”障害者という一つのかたち”を互いに使って、ともに世界を広げよう

発達障害は非定型発達、それ自体は病気ではない

山登 敬之さん

世界の当事者になる  雨宮 処凛

自信の鉱脈

自閉症の僕が「生きていく風景」  東田 直樹

僕にとって、本はかけがえのない友人

CDレビュー  浅井 博章

春に迎える、カリスマロックミュージシャンたちの命日に   ― 忌野清志郎、hide、尾崎豊、華月

クリエーターの視点  フォトジャーナリスト  小原一真さん

テレビうらおもて  伊藤 悟

まだまだ「キワモノ」としてテレビに消費されるゲイ

ひぐらし本暮らし  岡崎 武志

『漱石の「こころ」』角川ソフィア文庫

COOKING  枝元なほみ

うど二種

第3回「若者ホームレス支援ネットワーク会議」

貧困、障害、ひきこもり、すべての問題は地続き。  家を失ったある時点で「ホームレス」になる

YOUR ISSUE ― あなたのオピニオン

FROM THE STREET ― 街角と販売者

■ホームレス人生相談  のびのびと育てたいのに母親が育児に口出ししてきます

■コミック  エモ!言われん  あの気持ちはどこへ

■路上から          ■今月の人

「がんばる」よりも今は「あきらめない」ことが大事。「販売」も「復興」も

FROM EDITORIAL 編集後記

 

 

サイエンス・アラート -骨形成の促進と骨吸収の抑制を同時に行うタンパク質を発見

セマフォリン3A(Sema3A)というタンパク質をマウスに投与すると、骨の形成を促進され、同時に古くなった骨の破壊(骨吸収)を抑制することを、東京医科歯科大学などの研究チームが実験でつきとめました。骨粗しょう症などの骨の病気の新しい治療法の開発が期待されます。論文の著者と専門家にコメントをいただきました。

原著論文:Hayashi, M., Nakashima, T., Taniguchi, M., Kodama, T., Kumanogoh, A. & Takayanagi, H. (2012) “Osteoprotection by semaphorin 3A” Nature. doi: 10.1038/nature11000

【論文著者コメント】

高柳 広 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 分子情報伝達学の教授  JST ERATO 高柳オステオネットワークプロジェクト

骨は硬く安定した組織に見えますが、実際には皮膚などと同じように新陳代謝を繰り返しており、古くなった骨が破骨細胞により破壊され(骨吸収と呼ばれる)、新たな骨が骨芽細胞によって作られる(骨形成と呼ばれる)サイクルが繰り返されることで、丈夫さやしなやかさが維持されています。健康な状態ではこのバランスは均衡しており、骨の量は一定に保たれていますが、加齢や閉経などの要因でこのバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回ると骨粗しょう症などの疾患に陥ってしまいます。現在、骨粗しょう症の治療では骨吸収を抑える薬剤が主に使用されていますが、この場合、骨形成も同時に抑制されてしまうことがあり、骨吸収・骨形成の双方を制御し、骨量を回復させる薬剤・治療法の開発が望まれています。

本研究グループは、神経細胞が回路を作る過程を制御することや、免疫細胞であるT細胞の抑制に関わることが知られていた「Semaphorin 3A (Sema3A)」というたんぱく質が骨芽細胞から産生され、骨芽細胞自身と破骨細胞の両者に働きかけることにより、骨吸収の抑制と骨形成の促進という2つの作用を同時に持ちあわせることをマウスにおいて明らかにしました。

Sema3Aの機能を失ったマウスでは、骨吸収が促進し骨形成が低下した結果、骨量の異常な低下がみとめられました。また、骨に穴をあけてその再生過程を検証する骨再生モデルマウスや、骨粗しょう症モデルマウスにSema3Aたんぱく質を投与すると、骨の再生を促進し、骨の減少を食い止めることができました。

今回の発見により、骨粗しょう症や骨折、関節リウマチ等の新しい治療法の開発に繋がることが期待されます。また、老化して骨量が低下傾向にあるマウスでは、血中のSema3Aたんぱく質量が低下していることから、疾患診断バイオマーカーとしても利用できる可能性も示すことができました。

【専門家コメント】

T.J.マーティン教授 (T.J. Martin) セントヴィンセント医学研究所

この興味深い研究は、神経系統と骨のより強い関係を明確にしています。セマフォリン3A(Sema3A)が骨の中で生産されることは何年も前から知られていました。この研究が明らかにしたのは、Sema3Aが、骨生成を促進し骨折を抑止する骨芽細胞から作られることです。骨折を防止する薬剤は全て骨生成も抑制してしまうので、骨粗鬆症を防ぐことだけに効果がある薬の開発が求められています。

しかしながら、新薬の開発には多くの課題が残ります。セマフォリン3Aは、中枢と抹消の双方の神経系統や心臓の発達において重要な役割を果たすと考えられています。この分子は、セマフォリン4D(Sema4D)などと同じ様な効力を持つ関連分子の一族に属します。Sema4Dについては、本論文を作成した同じ執筆者が最近、骨中で生産され、かつ、骨の生成を阻害すると、指摘しています。

これまでに論文として公表された治療研究は限られられています。遺伝子実験で明らかになった制御経路は非常に興味深いのですが、多くの課題を抱えています。セマフォリン3Aが直ちに薬として使えるとは考えにくいのですが、骨組成と骨折予防の同時促進を究明するための鍵として、その開発の試みに多大な刺激を与えるでしょう。

シャオ准教授(Yin Xiao) クイーンズランド工科大学 健康及び生物医学革新研究所

本論文では、骨吸収細胞の活発化を防ぐと同時に骨生成細胞の活性を促すといった、セマフォリン3Aの役割を慎重に検証した上で、この分子を骨減退治療に適用する可能性を提示しています。検証は遺伝子をノックアウトした多くの動物や細胞を用いて行われました。

しかしながら、この調査結果を臨床利用するためには、まだまだ詳細な検査を必要とします。セマフォリン3Aの受容体と、それにより引き起こされる細胞内のシグナル伝達経路は、まだ明らかになっていません。この分子の作用による骨の吸収と生成の仕組みは、殆ど不明なままです。とはいえ、この研究で得られた知見は、セマフォリン3Aそのものを理解し、その服用による潜在的な副作用をより深く理解するために有用です。

ポール・アンダーソン博士(Paul Anderson) 南オーストラリア大学 筋骨格系生物学研究所

この執筆者たちは、ネズミ内のセマフォリン3Aが、骨の再構成を制御するシグナル伝達に重要な役割を果たすことをつきとめました。 現在、骨粗しょう症治療法は発展途上で、一般的に、骨吸収または骨生成のいずれか一つに絞って行われます。 特に、骨吸収を抑止する合成物は、骨の損失を防ぐのには有効であっても、骨の組成育成にはまったく効果がありません。よって、骨生成をも促進する有用な治療法を見出すため、研究者と製薬会社の協調した調査研究が続いています。

仮に、セマフォリン3Aが、人間にもマウスと同様の効果を与えると証明できれば、この分子が骨吸収の防止だけでなく、骨生成を推進する治療に向けた、注目の的となる可能性があります。

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(科学を伝えるひとをサポートする」ことを目的とした組織、一般社団法人サイエンス・メディア・センター(SMC) http://smc-japan.org/ が発行する「サイエンス・アラート」の転載です。)

Tel: 03-3202-2514 Fax: 03-3202-2497   E-mail: smc@smc-japan.org

サイエンス・アラート -環境中の微粒子の健康への影響について  

環境中の微粒子の健康への影響について

春になると、関東地方では風が強く、ホコリが気になります。アレルギーを引き起こす花粉や、黄砂の飛来、また昨年に続き放射性物質の舞い上がりなど、空気中を浮遊する微粒子が気になる方も多いようです。また、特に東日本大震災後は放射能影響を気にするかたも多く、呼吸器系に対する微粒子の影響を正確に理解し、伝えることが重要になっています。

近年、環境中の微粒子が人間の体内に入った場合の影響について研究が進んでいます。ナノ粒子(直径が1~100ナノメートル程度の微粒子)は身近な製品にも使われるようになりましたが、どのような影響があるのか、また、今春、ホコリによる内部被ばくの心配はないのか、専門家にコメントをいただきました。

【専門家コメント】

◆武田健教授  東京理科大学薬学部教授

直径が0.1マイクロメートル以下の超微粒子(ナノ粒子)が生体に与える影響について2000年からCRESTや学術フロンティアという資金を得て研究しました。ディーゼル車が大量のナノ粒子を排出しています。室内で1㎤あたり3000~5000個のナノ粒子が漂っていますが、交通量のある道路沿いではこれが2万個以上になることがあります。

私たちの研究では、妊娠したマウスに東京で汚染がひどい地域と同じ程度にうすめたディーゼルエンジンの排ガスを吸わせ、産まれてくる子どもへの影響を調べました。その結果、子マウスの脳にナノサイズの黒い粒子状物質が認められ、様々な影響が出ることがわかりました。さらに、化粧品等に広く用いられている酸化チタンという物質のナノ粒子を母マウスの皮下に投与した所、子マウスの脳や精巣に移行し、影響を及ぼすことがわかりました。酸化チタンだけでなく、カーボンブラックなど炭素系のナノ物質でも影響がでることがわかりました。

ヒトにおいては、海外で、大気中の粒子状物質の濃度と死亡者数の疫学的研究が発表されていますが、アメリカやヨーロッパの都市で粒子の濃度が高いほど死亡リスクが高いことがわかっています。

ディーゼル車に関しては排ガスの微粒子を、より細かいものまで除去する技術を高めること。近年、工業的に開発・使用されるようになったナノ物質に関しては、引き続き、安全性を研究することが必要です。現在増加しているアレルギー性疾患などと微粒子との関係についての研究も今後の重要な課題と考えます。

◆市瀬孝道教授  大分県立看護科学大学 人間科学講座 生体反応学研究室

一般に土壌ダストには直径が2.5~10μm(mmの千分の一)の微粒子が含まれますが、これらの粒子サイズの殆どが鼻腔や気管支で止まり、肺の奥までは約3%しか入っていきません。大気中の微粒子では、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるすすが、0.5μm程度の大きさからナノ粒子サイズ(0.1μm以下)の大きさのもので肺の奥まで到達します。

ディーゼルのすすも、黄砂(中国由来の土壌ダスト)もアレルギーを悪化させる原因として研究がなされています。これらは物理的に気道を刺激するほか、付着しているカビや大気汚染物質由来のような化学物質が気道を刺激することもあります。

土壌ダストやディーゼル排気粒子が体内に入ると、マクロファージと呼ばれる自然免疫系やリンパ球が中心となる獲得免疫系が働き過ぎ、炎症反応を増悪したり、アレルギー炎症が悪化したりします。細菌による炎症やアレルゲンによるアレルギー炎症は、これらの粒子を吸い込むことによって重症化するので、なるべくダストを吸い込まないようにすることが大事です。

例えば、コピー機のトナーも肺の奥まで到達するような炭粉ですので、トナー交換の時はマスクをした方がよいでしょう。   普通のマスクで大丈夫ですが、インフルエンザ専用マスクなら、より細かいものも防ぐことができます。また、気管支喘息や花粉症をもった人は黄砂が飛来する時にはマスクをした方がよいでしょう。

◆桝本和義教授  高エネルギー加速器研究機構

現在、福島第一原発からの放射性物質の放出はつくばではほとんど検出できません。空気のサンプリングは、つくば市の国立環境研究所の建物のベランダ、地表7、8mのところでしています。ハイボリューム・エアー・サンプラーという装置で、空気を毎分何百リットルも吸って1週間分のホコリ(エアロゾルなど)をフィルターに集めて、高エネルギー加速器研究機構の検出器で測定しています。2011年の夏以降、つくば市のサンプリングでは、検出限界以下が続いています。花粉やホコリを吸い込んで内部被ばくをするという心配はありません。

関東地方で大気中の放射性物質による内部被ばくの心配があったのは、2011年3月15日、21日です。ガス状の放射性ヨウ素も検出されました。

放射性セシウムは21日頃の雨で地表などに落ちました。しかし、放射性セシウムは土壌などの物質にくっつきやすく移動性が少なく、一気に吹き飛んでいったりしないので、雨風があってもそんなに放射線の線量率(マイクロシーベルト/時)は変わりませんでした。事故で放出されたセシウムは直径マイクロメートルのオーダーのエアロゾルとして漂いました。3月15日、21日でも、二日ぐらいすると空気中の放射性物質の量は100分の1ほどになりました。

その後もときどき空気中の放射性物質の量は検出されることがありましたが、2011年6月以降は5桁から6桁下がり、観測できなくなりました。現在、放射性セシウムは湖の底に沈んだり、ヘドロとして沈殿しているものが問題になっています。水に落ちたものも、溶けずに沈んでしまうからです。

地面からの線量が高いのは、空気は放射線を遮蔽しないからです。サーベーメータは80m離れたところからのガンマ線も測っており、何トンという地表面の土からの放射線を測っています。雪が降ると地面から数センチの雪であっても遠くからの放射線は遮蔽されてしまいますので、雪の日には線量が下がります。

これに対して、ホコリからの放射線は微量すぎて検出不能です。呼気による内部被ばくについて気にされている方もいらっしゃるかもしれませんが、気にすべきは外部被ばくの方で、このコントロールは大事です。空気中のほこりについては、健康に影響を与える量が舞い上がることは考えなくてよいです。もし、心配であればマスクで防げます。

黄砂については、4月下旬に強かったときにも放射性物質は検出されませんでした。時々、放射線量が増加する時がありますが、これは自然由来のもので、大陸起源のラドンが雨のときに一緒に落ちてくるので放射線量が高くなります。台風の場合は海から来るので放射線量は上がりません。

お話しましたように、福島第一原発由来の放射性物質は、少しずつ減りながら、ときどき上昇することがありました。昨年、3月末、4月半ば、5月の連休と約2週間おきに上がることがありました。これらの記録は、環境放射能の測定結果として、KEKのサイトに掲載しています。  http://www.kek.jp/ja/Research/ARL/RSC/Radmonitor/

(科学を伝えるひとをサポートする」ことを目的とした組織、一般社団法人サイエンス・メディア・センター(SMC) http://smc-japan.org/ が発行する「サイエンス・アラート」の転載です。)

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