「社内電話はないが、ロボットはある」とEvernote社長 ー米ニューヨーク・タイムズ紙
米ニューヨーク・タイムズを読んでいたら、何でもネット上に記録・保管できるサービスを提供するEvernoteの社長のインタビューが載っていた。普通の会社ではお目にかかれない、様々な斬新なビジネスアイデアを実行している様子を紹介したい。
(ニューヨーク・タイムズによるフィル・リビン社長のインタビュー記事は以下で読める。 http://www.nytimes.com/2012/04/08/business/phil-libin-of-evernote-on-its-unusual-corporate-culture.html?_r=1&ref=adambryant
まず、もともとリビン氏はエンジニアであったので、当初、ある程度少人数でやる気いっぱいのエンジニアたちを統括するという意味ではうまく行っていたのだが、そのうち、会社が大きくなると、様々な人がいて、それぞれの動機付けを考えたり、調整のための政治力が必要とされるようになった。リビン氏は、自分がマネージャーとしては力が足りないことを知った。今は160人ぐらいスタッフがいるそうだが、管理スキルに長けたスタッフを持つことで、うまく行っているようだ。
社内の雰囲気は限りなくフラットだそうだ。例えば、それぞれの従業員には特定のオフィス・スペースがなくて(おそらく、固定デスクがないという意味だろう)、お給料は上下がもちろんあるのだけれども、上司だからと言ってよい椅子に座れるとかそういうのがない。いかに「効率的に、本来の仕事に取り組めるか」を意思決定や評価のベースにおいている。
その1つのやり方として驚くのが「社内の電話をなくした」こと。みんな携帯を持っているし(電話代の基本料金は会社が負担しているようだ)、営業の会社ではないので、電話を使って外部と長々と話をする必要はないからだ。電話で話す暇があったら、仕事に熱中するべきなのだ。電話をかけたかったら、机から離れて、会話をする人が多いという。
そして、長いメールも駄目。要点を書くことが奨励され、長いメールに書くような案件があるのだったら、歩いてその人のところまで行って話す方がいい、と社長はいう。
エバーノート内の業務をスタッフ全員が知ることを目的として、「エバーノート・オフィス・トレーニング」というのをやっている。これは、普段の自分の職場から離れ、ほかの部署に行って何をしているのかを学ぶ方法。そうすることで、社内の業務全体を知り、他部署の会議に出る中で、質問をしたり、新鮮なアドバイスが出せる。受け入れたほうの部署の人は、外からやってきた人からいい意味で刺激を受ける、と。
驚きはここで終わらない。まず、休暇が無期限なのだ。自分で判断して長さを決めなさい、と。仕事をこなすことが大事で、社員は「大人なのだから」、まるで罰のように会社にいさせるということはしない、と。
しかし、休暇の長さを自由裁量にすべてしてしまうと、かえって社員が休暇を取らないようになるのでは、と社長は心配した。そこで、休暇をとる際には、すくなくとも1週間は連続してとるようにしてもらい、そうした場合には(1週間以上の連続休暇をとる場合)、1000ドル(8万円ぐらい)のおこづかいをあげることにしたそうだ。それで非常にうまく行くようになった、と。
もう1つ、驚くことを挙げれば、自分が社内にいないとき、「エニーボット」というロボットを使っていること。この記事にはこのロボットの写真はついていないのだけれども、画面がついていて、2つの車輪付き、高さは6フィートというから、箱のようなものかもしれない。その画面を通じて、社員は社長の顔を見れるし、ロボットに付いたカメラや聴音装置で、社長は社内の様子を見たり、社員と会話を交わすことができるというのだ。
こういうロボットは、前にもテレビで見たことがあって(エバーノートの会社だったのかもしれないが)、珍しくはないのかもしれないが、なんだかなあ・・・と思う。これは、スカイプやテレビ電話の1つの形態とも考えられるけれどもー。(遠く離れた支社同士で働く社員に帰属感を持たせるために、社内に大きな「画面」を置いておく、という話もあった。私は小説「1984年」のビッグブラザーを想像してしまったが。)
ここまで説明してきて、テクノロジー関連の企業に働く人からすれば、何も驚くことがない・・・と感じる人もいるのかもしれないと思う。
経営スタイルも含め、すごいことになっているなあ、でも、これがーーグーグルも特別なめがねを発表したことだしーー、少なくともテクノロジー関係の会社では普通になっていくのかなあと漠然と思うわけである。(ブログ「英国メディア・ウオッチ」より)
米メガ銀行ボイコット広がる Newslog USA
金融危機を引き起こしたウオール街の銀行が救済され、一般市民は救済されることなく不況のあおりを食っている。折角手に入れたマイホームのローンが払えず、住宅差し押さえ処分を受ける人々も少なくない。この不条理に怒った市民が行動を起こしたのが「お金を移しかえよう」運動。預金を、大手銀行から地方銀行や信用金庫などへ移そうとする運動である。
最近、聖職者団体などで結成する「ニュー・ボトム・ライン」のメンバーは、大手銀行ウェルズ・ファーゴのサンフランシスコ本社前で抗議集会を開き、即座に不当な住宅ローンによる差し押さえを凍結するよう要求した。また、すでに同行の預金を1000万ドル(約8億円)移したと発表した。
この集会は、サンフランシスコ市査定官が同市での住宅差し押さえに関するレポートを発表した後に開かれた。レポートでは、実施された差し押さえの84%が合法かどうか疑問が投げかけられている。 「ニュー・ボトム・ライン」は、そのウエブサイトでも「我々のお金を移しかえよう」運動を呼びかけてきた。運動を「聖職者団体・地域社会団体・労働組合や個人が銀行利益に挑戦する」と位置づけている。不当な住宅差し押さえや、小企業への融資をしぶるメガ銀行へ挑戦する「99%」のための動きである。
そのような中、カリフォルニア州バークレー市議会も、思い切った行動に出ている。2004年からの付き合いであるウェルズ・ファーゴとの契約更新を考慮すると発表したのだ。
ウェルズ・ファーゴは、サブプライムローン危機の立役者。2008年のリーマンショック時にも連邦政府から救済されている。バークレー市議会では、ウェルズ・ファーゴの企業倫理に飽き飽きし、地域社会の利益を重んじる金融機関と取引しようという案が満場一致で可決された。
同市の預け金は約3億ドル(約240億円)。それだけでなく、支払い取り立て・送金・振替手数料など、この3年間で同市は、ウェルズ・ファーゴに120万ドル(約9600万円)払ってきた。ウェルズ・ファーゴも契約更新に向けて再申請するよう促されてはいるが、他行とのレースに勝つには、地域に根ざした銀行という面を示さなければならない。
調査コンサルティング会社「ジャベリン戦略」によると、昨年11月から推定で560万人が大手銀行から預金口座を移したという。この内約11%は「お金を移そう」運動に共感したからだという。25%は銀行が課する多くの手数料に不満だからとしている。
この「お金を移そう」運動は昨年が始まりではない。リベラル系ネット新聞のハフィントン・ポストの創始者アリアナ・ハフィントン氏が3年前に呼びかけている。しかし、その時にはさほど盛り上がらなかった。昨年の「99%運動」で火がついたようだ。
銀行口座解約は、市民ができるメガ銀行への「住宅危機を起こした責任をとれ」という怒りのメッセージとなる。バークレー市や聖職者団体の巨額な預金解約は、銀行には脅威と映るかもしれない。
15日には上院銀行委員会が開かれる。それに合わせてリベラル系市民団体ムーブ・オンなどは、各地でメガ銀行前や差し押さえ物件の住宅前で集会を開き、99%は家を守るために立ち上がったというメッセージを送る予定である。(写真撮影:デイブ・マクレーン)(ブログ Newslog USA より)
あえて今・・・「~世界最大「超国家」の誕生~衝撃!EUパワー」(大前研一著)
エコノミストの大前研一氏は日本の将来を担う人材育成に余念がないとされる。最近は「東欧チャンス」、「衝撃EUパワー!」といった未来予測の啓蒙的な書を世に出してきた。ユーロ崩壊や欧州連合解体が噂される今、大前氏の著書をあえて読んでみた。
「衝撃!EUパワー」(朝日新聞出版)は2009年11月に出版されている。発刊から約2年である。その帯にはこう歌われている。
「人口、GDPでアメリカを上回り、EUは世界一の経済圏となった。もはやEUを知らずして現在の世界経済は語れない。ところが、この世界経済の潮流に日本政府も企業も乗り遅れてしまっている。日本はどうすべきか-」
ここで使用されている「乗り遅れてしまっている」には毎度のことだが抵抗しがたい魅力がある。また、帯には「日本復活のカギは欧州にあり!」と大きく書かれている。
「衝撃EUパワー」の冒頭で大前氏は「国家の定義とは何か」という章を立て、EUが国家の定義を大きく揺さぶったと指摘している。
「国境はあっても通行は自由であり、憲法、軍隊、通貨という国民国家の定義の根幹をなす3つの要素についても、他国と共有しているからだ」
として、EUは国家としての定義をすべて満たしているがゆえに「EUを国家とみなしていけない理由はない」としている。
「ただし、それは19世紀的な意味の国民国家ではない。多くの民族、多くの言語を内包し、それぞれの地域が大きな自治権限を持つ、連邦スタイルの巨大国家である。」
だから、超国家と呼ぶのがふさわしく、EUこそが21世紀の新しい国家の姿であるというのである。こうした観点から「いよいよ初代大統領が誕生する」と予告し、その候補者として英国の元首相、トニー・ブレアやドイツのメルケル首相などを挙げている。このユーロの拡大は止まらないとして、「世界でただ一つの規律ある通貨」という章まで設けている。
大前氏の本書が書かれたのはリーマンショック(2008年秋)の後の時期であることは本書を考えるときに欠かせない要素である。大前氏は欧州もサブプライムローンの余波を受けて一時混乱を来したが、ユーロはドルのように崩れなかった。大前氏はユーロを大絶賛しているのだ。
「その理由はユーロが世界で唯一規律のある通貨だからである。」
ユーロ導入のおかげで各国は財政も規律を持つことができたという。
「日本と(注:財政赤字で)いい勝負であったイタリアは93年の10%を超える赤字から、2008年には対GDP比で3%に収まるまでになっている。」
その理由はEU委員長となったロマーノ・プロディ首相の下でインフレ克服、財政赤字対策が行われ、ついに合格圏に到達してユーロ導入に成功したからだ、とされる。
ギリシアが隠れ財政赤字を多額に抱えていたほか、同様の問題がイタリアなどでも出てきた。すべてが露見してきた今ではイタリアが健全財政だったと信じる人はいないだろう。これらの国は米金融機関の指南を得て、デリバティブを使った財政赤字隠しをしていたとニューヨークタイムズでは報じられた。
しかし、こうしたことは「衝撃EUパワー」が出版されて2か月後の2010年1月に顕在化したことだから大前氏は知らなかったのかも知らない。とはいえ、今の欧州の経済危機を見ると、大前氏の予測通りにはならなかったことは明白だ。むしろ、欧州解体とユーロ崩壊と言った言葉が新聞に載らない日はない。現時点ではユーロが世界で唯一規律がある通貨だとは誰も信じないだろう。本書を世に問うた朝日新聞出版の系列の朝日新聞でもユーロ分裂の可能性を示唆する記事を連載している。
出版からわずか2年である。
とはいえ、大前氏が語ったのは長期的な展望であり、今の危機は短期的な危機としていずれ乗り超えていくのであれば、大前氏の予測も間違っていなかったとずっと後には思われるかもしれない。日刊ベリタで以前報じられたことだが、かつて原子力発電を支持していた大前氏は3・11後は逆に脱原発の論をインターネット媒体で論じていた。では、欧州連合についてはどうなのだろうか。
「衝撃EUパワー」は定価1700円だが、古書店で105円で売られていた。しかし、ここで掲げられた論考が、目下EUが危機にあるからといって、必ずしもすべてが間違っていたと断じることもできないと思われるのである。そんな風に極端から極端に振れるよりも、弁証法的に論を進めていく方がいいのではないか。世界には予測不能のことはあるし、人は間違えることもある。そうした誤りや誤差を修正しながら、より大きな論考に改めていけばよいのである。もし大前氏が本当にEUパワーに衝撃を受けたのなら、今こそ、EUパワーについて語るべき時であろう。
欧州連合は今、不況の中、各国で台頭してきた排外主義から何とか欧州連合の理念=戦争を永遠に止める=を守ろうと必死になっている。欧州連合は第二次大戦の反省から反戦の目的で作りだされたもので、金儲けのための機構ではない。しかし、今行われている手立ては成功するのか、失敗するのか。共通通貨圏ユーロが解体されるとしたら、一部が切り捨てられるのか、それともすべてバラバラになるのか。成長しつつあった東欧諸国はこの先、どうなるのか。欧州が堅調の時に欧州パワーを語るのはたやすい。だが、本当に欧州連合の未来を語るべき時は、今であろう。大前氏が東欧や欧州連合について、今後どんなことを論じられるのか、そこに期待したい。
■ニューヨークタイムズ紙(2010年2月13日付)「ウォール街が欧州危機隠ぺいを手助け(Wall St. Helped to Mask Debt Fueling Europe’s Crisis)」 http://www.nytimes.com/2010/02/14/business/global/14debt.html
’As in the American subprime crisis and the implosion of the American International Group, financial derivatives played a role in the run-up of Greek debt. Instruments developed by Goldman Sachs, JPMorgan Chase and a wide range of other banks enabled politicians to mask additional borrowing in Greece, Italy and possibly elsewhere.’
ゴールドマンサックスが国の赤字をデリバティブを使って巧妙に隠す手口をギリシアに指南したことがギリシアの財政危機を巨大なものにする原因となったとされるが、同様の指南はJPモルガン・チェース銀行や他の金融機関によっても行われていた。指南を受けて借金を拡大した国にはギリシア以外にもイタリアなど複数の国があるとされる。これらの国々は欧州連合の財務基準を迂回するテクニックを得て、赤字を拡大したというのである。
■【編集長妄言】大前研一さん、ありがとう! ゴリゴリの原発推進派から批判派に寝返っていただいて
「高名な評論家で経営コンサルタント業の大前研一氏がネット上の一部の原発批判派の間でちょっとした有名人になっている。3・11以降の福島第一原発の暴走を受け、原発批判を始めたからだ。彼はついこの間まで原発推進派の最先端にいて、アジっていた人だ。その彼が、福島第一原発が爆発した直後の3月15日、大前氏は「日経BPネット」というインターネットサイトで「日本の原子力開発は事実上、終わった」と書いた。君子は豹変する、実に見事な君子ぶりである。」 http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201104300047036
(日刊ベリタより)
フェアトレードの現場から チョコレート・サミット開催
バレンタインシーズンに向け、フェアトレードなどの「愛のあるチョコレート」を広めるチョコレート・アライアンス【コアメンバー団体: ACE、スローウォーターカフェ、ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジ、フェアトレード・ラベル・ジャパン】は、ミニストップ株式会社と共催で2月4日(土)に「チョコレート・サミット2012」を開催します。
<チョコレート・サミット2012 イベント詳細> 最新情報は:https://www.facebook.com/chocoalliance
【日時】 2012年2月4日(土) 13:30~17:30 (開場:13:00) 【場所】 JICA地球ひろば 3F講堂 (東京都渋谷区広尾4-2-24) http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html
【参加費】 ¥500 (愛のあるチョコレート 試食セットつき) 【定員】 200名(事前申込優先) 【プログラム】 *内容は変更となる場合がございます。上記facebook特設ページで最新情報をご確認ください。
<スケジュール>
■Part1 13:30-14:25 『チョコレートができるまで ~カカオ生産地からの報告~』 スピーカー: 藤岡亜美(有限会社スローウォーターカフェ代表)、ACEガーナスタディツアー参加高校生・大学生 コーディネーター: 白木朋子 (特定非営利活動法人ACE事務局長)
■Part2 14:35-15:35 『愛のあるチョコレート 日本でのあゆみ』 スピーカー: 佐藤昌紀(NPO法人ポラン広場 東京事務局長)、 鈴木隆二(有限会社ぐらするーつ 代表) コーディネーター: 小野倫子 (ピープル・ツリー 広報マネージャー)
■Chocolate Break 15:35-16:20 フェアトレードの「愛のあるチョコレート」の試食、 コーヒーの試飲
■Part3 16:20-17:20 『愛のあるチョコレート 日本企業の挑戦』 スピーカー:岡村幸代(ミニストップ株式会社 商品改革・トップバリュ部 商品改革チーム/ミニストップ・フェアトレード研究所所長)、中島佳織(特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン 事務局長) モデレーター: 船木成記(株式会社博報堂)
【お申込み・お問い合わせ】 choco.summit@gmail.com 宛にメールにて、お名前・参加人数をご連絡ください。
※当日参加も可能ですが、事前申込者優先となります。出来る限り事前にお申込みください。 ※サミット終了後の懇親会(18:00-19:30、会費1,000円程度予定)への参加希望もあわせてお知らせください。
【主催】 チョコレート・アライアンス 【共催】 ミニストップ株式会社
■日刊ベリタ 2010年9月の記事「秋のフェアトレード・チョコレート」 http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201009280145022
核・原子力 農民は加害者なのか! 福島県有機農業ネットワークが都市と農村の新しい関係構築を訴え、アピール
被害者である福島県の農民をまるで加害者のように責め立てる都市の消費者がいる。そんな中で自殺する農民が後を絶たない。メディアに報道されるのはそのほんの一部というという人も多い。福島県有機農業ネットワークは年末、「農民を責めないで」と訴え、「原発のない新しい時代を創るために今こそ、都市と農村の新しい関係を構築しよう」と呼びかけるアピールを出した。
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年の瀬にあたり、ふくしま有機ネットからの訴え ~有機農業者・減農薬生産者のコメの支援をお願いします。
3・11大震災・原発事故に揺れた2011年の年末にあたり、この1年の温かいご支援、ご協力に心から感謝を申し上げます。
年の瀬のこのときに、伊達市(霊山町)のイチゴ農家、二本松市(東和町)のりんご農家が自ら命を絶ちました。もうこれ以上農民から犠牲者を出さないでください。 福島県の米は農協の倉庫に業者の倉庫にそして農家の納屋に生き場をなくして年を越す状況にあります。
とくに消費者との産直で取り組んできた有機米、減農薬米の生産者の「これでは年を越せない」との悲痛な声に耳をかたむけてください。
すでに報道されているように、検査の結果100ベクレル以下は95%(不検出は85%)であり、基準値を超えたのは0・3%です。もちろん検査し、不検出の米のみの支援をお願いするものです。出荷停止となっている伊達市小国地区などの地域は特異な例であり、それをもってすべての福島県産米が否定されることは悲しくてなりません。セシウムの米への移行が極力少ないことが検証され、来年の米づくりに光りが見えてきているこのときに、この希望の芽に心を寄せて下さい。責任は東電にあり、農民を責めることができるでしょうか。
原発のない新しい時代を創るために今こそ、都市と農村の新しい関係を構築していくこと、私たち農民も農の営みを続けて、さらに安全安心なふくしまを再生していくことを約束して、緊急に米のご支援を訴えさせていただきます。
2011年12月30日 NPO法人福島県有機農業ネットワーク 理事長 菅野 正寿
※支援を求めている農家は多数あり、販路を求めている米は数十トンにのぼります。
詳しいお問合せ・連絡はふくしま有機ネット事務局(齊藤登 yuuki@farm-n.jp TEL0243-24-1795【二本松農園事務所を兼ねる】)までお願いします。(「日刊ベリタ」より)
この地に生きる百姓の思いを描いたテレビドキュメンタリー「原発事故に立ち向かうコメ農家」
12月4日夜10時からNHK教育テレビで、原発事故による放射能汚染に苦しむ農家の苦闘を描いたドキュメンタリー番組が放映された。「原発事故に立ち向かうコメ農家」、監督は原村政樹さん。これまで有機農業の世界を描いて、数々の秀作を世に送り出してきた人だ。
作品は二つの物語を軸に進む。一つは天栄村で環境に配慮しながらおいしいコメ米作りを追求してきた農民グループ。もう一つは借金を抱えながら大規模経営を作り上げてきた大玉村の農民。いずれも手練れの百姓衆で、インターネットで情報を集め、専門家と会い、それにこれまで培った経験と知恵と技能をフル動員して、汚染のない、安心して食べてもらえるコメをつくろうと苦闘する。
秋、収穫したコメを計測した。いずれも「検出せず」。彼らは自信をもって数字を公表する。しかし、売れない。大玉村の鈴木さんの倉庫には袋詰めされたコメが山と積まれたまま。これまで親しくつきあってきた取引先からは何の注文もないまま、日が過ぎていく。そんなとき、全国の稲作経営者の集まりが温泉地であった。鈴木さんは苦衷を訴えるため演壇に立った。淡々と話していて、突然口ごもった。こみ上げてきたのだ。口調が変わった。
「助けてくれよ。仲間だろ。農家の長男に生まれて、代々の農家を継いで百姓になって、土地があって、家があって、墓があって。おれだって逃げたいよ。だけど逃げられないよな。みんなわかるだろ」。涙声だった。
なにかと批判の多い既成メディアだが、日曜夜10時の教育テレビという地味な時間帯で思いがけない掘り出しものにぶつかる。この映像は、既成メディアは信用できないとレッテルを張る脱原発運動のインターネット情報が持っているある種のゆがみを照らし出していると、テレビを見ながら感じた。そのゆがみとは、「おれだって逃げたいよ。だけど逃げられないよな」という、「その地に生きる」ことを選択した、あるいは選択せざるを得ない人たちの声や思いに対する無視あるいは見てみぬふりである。
3月11日に大地震と津波が来て、続いて福島第一原発が爆発し、暴走を始めた。4月に入り、福島の村に通い、地域の農と食の再生をめざす小さな取り組みを、地元の人たちと共同で進めている。その過程で、何度「逃げたいよ。だけど逃げられないんだ」というつぶやきを聞いたことか。
しかし、脱原発活動家らが構成するメーリングリストやツイッター、ブログなど、インターネット市民メディアといわれるものをのぞくと、自分たちの安全や福島から避難した人たちの「避難の権利」のついては激しく発言し行動するが、避難できない人、避難しないでそこで生きていくことを選択した人たちの「そこで生きる権利」についての言及はほとんどない。先の見えない不安にさいなまれながら耕し種をまく原発被災地の農家の苦悩に寄り添う思いや想像力が、都市の脱原発運動からは見えてこないのだ。
独裁政権に対するアラブ民衆の運動「アラブの春」の原動力となったといわれるブックフェイスやツイッターなどインターネットを駆使した市民メディアの成長は確かにすばらしいものがあるが、そこに内包されているある種の“危うさ”を日本の脱原発運動が発信するインターネット情報から嗅ぎとらざるを得ない。 私もかかわっている国際有機農業映画祭は、11月19・20日に開かれた第五回の催しのテーマを「それでも種をまく」とし、映画祭として同名の自主製作映像を作り、上映した。福島で長年有機農業を営んできた何人かの農家の原発事故後の農の営みを追い、インタビューを重ねて構成したものだ。郡山市のコメ農家中村和夫さんが「やっぱり種まかないと百姓じゃなくなるもんな」と呟いていたのが印象的だった。
映画祭当日、中村さんにも登場いただき、シンポジウムをやった。最後に司会が話を振った。「福島の農家として、どういう支援を望みますか」。
中村さんはこう答えた。「買ってくれとは言いません。全国の皆さんが、自分の地域で原発をなくす運動をして下さい。それが福島の百姓への最大の支援です」。
中村さんの田んぼは土作りが行き届き、土壌が粘土質ということもあって、放射能は出ていない。それでも収穫したコメのほとんどは倉庫に積まれたままだ。(「日刊ベリタ」より。筆者は農業記者でベリタ編集長)
反TPPで国家主義の原発推進派もいれば脱原発の排外主義者もいる 何ともねじれたこの国の論調
いまこの国や国民が突き当たっている基本的な問題で、論調に奇妙なねじれがこのところ目立つ。それを強く意識するようになったのは、3月11日の東日本大震災からである。
現在の日本の争点は、原発、TPP(環太平洋経済連携協定)、沖縄・基地の三点に集約されるだろう。そして従来これらの争点をめぐる論調はとてもすっきりとわかりやすかった。
もちろん、いまでもわかりやすい人はいる。例えば日本経団連の米倉会長。新聞などでみる限り、同氏は「原発推進」「TPP推進」「普天間基地は米国の意向に沿って辺野古移転」でまとまっている。ちなみに、筆者自身もすっきりとわかりやすい。「脱原発」「TPP反対」「米軍基地は国外へ」と、米倉さんとは対照的なのだ。
なぜわかりやすいかといえば、それぞれの論者の価値観がすっきりとわかるからだ。原発を進め、投資と貿易の徹底した自由化を標榜するTPP推進を唱えることは、物質的な豊かさを求めて開発と成長に至上の価値を置く考え方が根底にある。その開発と成長を支えているのは圧倒的な軍事力と近年あやしくはなったが基軸通貨ドルをにぎる米国であり、それは日本にとっては日米安保を軸とする日米同盟となって存在している。日米同盟の象徴は沖縄における米軍基地の存在であるから、それを損なう辺野古移転反対などとんでもないことになる。
逆に、それぞれにノーを言う人は、環境破壊や人間の尊厳を傷つける貧富の差の拡大を抑制し、人も自然もゆったりと生きられることに価値を置き、これ以上の成長や開発はいらないと考える。だから軍事力もいらないし、軍事力に基礎を置く国家安全保障などなくてもよいと考える。したがって、沖縄に米軍基地はいらない。 では“ねじれ”とはどういうことか。これら基本的な争点でさえイエス、ノーが錯綜し、入り乱れ、単純に動きを割り切れない状況を指して、ここでは“ねじれ”と呼ぶことにする。この“ねじれ”は新聞、テレビ、出版物など既成メディアばかりでなく、インターネットを通して増幅される。むしろここに特徴がある。
具体的な事例を通して考えてみたい。京都大学准教授で、TPP反対で論陣を張っている中野剛志さんという若手学者がいる。TPP反対論で注目を浴びたのは昨年秋ごろからで、その時は経済産業省出向の助教であった。中野さんのTPP反対論はきめ細かな分析をもとに多面的かつ具体的である特徴をもち、その限りにおいて教えられるところが多い。
彼が反TPPの論客として注目されるようになったのは、インターネットテレビへの出演であった。東京メトロポリタンテレビジョンという3kwのデジタル放送を行っている東京ローカル局だが、インターネット配信で広く見られてもいる。同局の看板番組のひとつが日本を代表する右派論客西部邁氏が仕切る対談番組「西部邁ゼミナール」で、その一つ2010年12月18日の放映された。「怪談TPP 西部邁ゼミナール」に出演、評判を呼んだ。
続いて「日本文化チャンネル桜」に出演、反TPPの論客中野剛志フィーバーが起こる。チャンネル桜は、草莽テレビと称し、その目的を「日本の伝統文化の復興と保持を目指し日本本来の『心』を取り戻すべく設立された日本最初の歴史文化衛星放送局」とうたっている。市民テレビとか市民メディアと言わないで「草莽」というところにこのテレビの思いが込められている。番組はスカバーのほかインターネットを通してユーチューブでも見ることができ、インターネットという新しい媒体における日本の右派ジャーナリズムの中心の位置している。 中野さんは2011年1月5日の「経済討論TPPと世界経済の行方」や、同1月29日の「TPP問題シンポジウム」などに出演している。ちなみにグーグルで「中野剛志とチャンネル桜」で検索すると54万8000件が出てきた。
このころから中野さんは全国を講演で飛び歩く。3月には新書で『TPP亡国論』を出し、ベストセラーになった。講演先はさまざまだが、チャンネル桜系や在特会系の右翼組織が目立つのが、彼の場合の特徴だ。在特会、正式名称は「在日特権を許さない市民の会」といい、ネット右翼が表に出てきたものといってよい。在日の人たちを目の敵にし、京都では初級中級朝鮮学校に押しかけ、「スパイは帰れ」とか「キムチ臭いぞ」なとと大音声でがなりたてたりする差別・排外主義集団である。3・11以後は「原発推進」を掲げて脱原発デモにちょっかいを出したり、8月6日には広島にあらわれて「核兵器推進」を叫んだりした。在特会の掲示板を覗くと、中野さんの熱狂的フアンが多い。 中野さん本人の意向はどうであれ、右派の論壇や差別・排外主義集団が中野さんを持ち上げるのは、中野反TPP論が経済ナショナリズムを基礎に組み立てられていて、それを成り立たせる国力を自主防衛論においているからである。月刊雑誌『WILL』8月号特集「原発、私はこう考える」に登場した中野さんは、日本の安全保障から見て必要という論旨で原発推進論を唱えている。
さらに中野さんは、インターネットテレビの「ニコニコ動画」なのにもしばしば登場、「脱原発論者に浮かぶ反国家思想 左翼思想の手段に原発議論を持ち込むな」といった主張を行い自然エネルギーや電力自由化論への批判を繰り返している。
いろんな意見があってよい。そのほうが健全だ。しかし、誰とどう手を組むか、となると話は別だ。自主防衛に裏打ちされた経済ナショナリズムという閉じられた世界に引き困るTPP反対論ではなく、民衆どうしがお互いの生存権を守り合うグローバルな民衆連帯を基礎にした反TPPの運動こそが、いま大事なのだと思う。 脱原発運動の世界でも同じようなことが起こっている。経産省前に脱原発を掲げて市民運動のテント広場ができている。経産省は撤去したくてたまらないし、毎日街宣車右翼が押し掛けてきて「早く立ち去れ」とがなりたてる。そこへネオナチを標榜する行動右翼が出現、脱原発での共同を申し出た。運動側は内部討議の末お引き取りを願ったが、一部には脱原発の輪を広げるためには、という理由で一緒にやっても、という意見もあった。
反TPPや脱原発は大切だ。しかし、そのことと排外主義レイシズムと手を組むこととは別問題である。少なくともぼくは差別・排外主義者や、それらに支持される論者と肩は組みたくない。(書き手は日刊ベリタ」編集長)
エールフランスは2012年に退職2000人で経営の縮小化、赤字路線の廃止も
エールフランス航空(AF)は今後3年間で8億ユーロ(約840億円)の経費削減策を打ち出した。最も赤字の路線は廃止するが、航空路線の変更はない。しかし、最良路線でも1本から2本の便が廃止されるという。2012年度は2000人の従業員の退職を予定している。新規採用は無いことを15日の仏経済紙トリビューンが伝えた。
これは採用を凍結し、2000人のポストを自然な退職で廃止するもので、実質的な縮小化を狙った模様。採用の凍結策は全ての職種にわたり、昇給や昇進、年功昇進なども凍結される。1月11日に開催される管理諮問委員会では、特に2013年には情報機器と飛行機はかなり減少されることになるとしている。
さらに同紙の報道によると、今年6億ユーロ(約630億円)の赤字計上を予定。エールフランスの短・中距離路線の構造的な再建策を来夏に6月中旬に打ち出すという。(ブログ「フラネット(パリ通信)」より。)
ユーロと英国 その2 「キャメロン首相には強い政治信条がないので、懐疑派を押し返せない」
欧州債務危機問題と英国の話で、欧州の外に住む人にとっては(マーケット関係者を除き)内向きの話かもしれないが、週明けの状況を自分へのメモとしても書き留めておきたい。
昨今のテレビ・新聞を見ると、一部の新聞には最初「よくやった、キャメロン」(債務問題を解決するための欧州首脳会議で、英国は「国益を守るために」新財政協定に参加しないと決めたこと、将来の金融規制に対する英国の拒否権が保証されない限りだめだとして、「拒否権を発動した」と報じられている件)という雰囲気があったけれども、「いくらなんでも、EU27カ国のなかで、1対26になったのはまずい」という、悲壮な論調が目立つ。これは左派・リベラル系の新聞が特にそういっているのと、BBCテレビの報道を見ても、「困ったな」という論調が出ているせいだろう。
欧州首脳会議が閉幕になった9日、当初は結果をあきらめた感じで受け止めていた、ニック・クレッグ副首相(連立政権のパートナー、左派リベラル系自由民主党の党首)が、12日になってBBCのテレビに出演し、「苦々しくも失望した」と自分の本音を切々と語った。(キャメロン)首相(保守党党首)と副首相の意見が違っているようでは、まずい。これも大きく報道された。「連立政権に、新たな亀裂?」といった論調である。
12日、親欧州のシンクタンク「フェデラル・トラスト」(政治的に中立ということだが、自由民主党への支持が強い)は、「英国とユーロ」という題で会議を開いた。
そこで拾った声としては、
*首相の判断の賛否はいろいろあるだろうが、結論自体よりも、「やり方が悪かった」、「26対1になったのは外交的失敗だった」
というのがメインだった。金融街シティーの利益が守られたのかどうかと言うと、これも疑問というのが圧倒的であった。むしろ、何らかの復讐(?)があるのではないかと心配する人もいた。
欧州全体の話としては、
*これを機会に、欧州の政治家がほかの国の内政にもっと干渉するようになる。汎欧州的な政治の駆け引きが本格化する(元欧州議員のジョン・スティーブンス氏)
という見方が新鮮であった。
懸念は
*英国はまだEUの加盟国なのに、議論の全てに関われなくなるのでは?
*保守党内にいる、いわゆるEU懐疑派(EUからの脱退もいとわない)が喜んでおり、これを機会に脱退に向ける流れができるだろうーーこれを止めないといけない
また、キャメロン首相の決断は
*首相自身の、あるいは政府内の意志というよりも、保守党内のEU懐疑派・右派をなだめるためだった
という分析が出た。
何故、電光石火の「拒否権発動」になったのかについては
*事情をよく知る外務省関係者が最後には締め出され、官邸側近が事態に対応していたから
*官邸側近らは、まさか26対1になるとは思わなかった
*英国の提案書がEUトップや独仏トップに出されたのは、午前2時過ぎだったという。最終的な結論が出るのは4-5時だから、「あまりにも遅すぎた」――もともと、提案が通るとは思っていなかったのか、あるいは単に外交上の失敗かのどちらかだ。
など。
フェデラル・トラストの代表ブレンダン・ドネリー氏(元欧州議会議員)に論評してもらうとー
―キャメロン首相の行動で何が起きたと思うか。
ブレンダン・ドネリー氏:あの会議で英国の孤立がはっきりと示された。複数の国が英国の側には立っていないことが分かった。本当に情けない状況になってしまった。EU諸国は英国には指導されたくないと思っているし、EUに期待するものが英国とはまったく違う。英国はEUを脱退するべきと思う国民がいる国なのだから。
ー何故このような結果に?
戦略上の失敗だと思う、最初から提案が通らないように計画したわけではないと思う。偶然にもそうなった。キャメロン首相は大雑把には欧州懐疑派だが、特に強い感情はなかったと思う。欧州は両刃の剣であることを知っており、党内に強い懐疑派をかかえているために、任期中に欧州問題がでかくならないことを望んでいた。
事態はどちらかというと悲劇よりも喜劇だと思う。EUの財政緊縮策や規制には「ノー」と言ったが、実際に、国内ではそうしている。金融街シティーの利益を守りたいとキャメロンは言ったが、この点では何も変わっていない。心理的及び政治的ダメージを残しただけだ。クレッグ副首相は大失敗と考えているのに、キャメロン自身は成功したと思っているようだ。
キャメロン首相は特に強い政治信条があるタイプではない。確信を持たない政治家だ(その反対がサッチャー元首相)。首相に就任することに関しては強い思いがあったものの、自分の強い政治信条がないことが墓穴を掘った。というのも、党内に欧州懐疑派がいて、この主張を押し返すことができないからだ。
―英国のみならず、ギリシャでも、EU加盟国の国民の中では、どうも物事が民主的に進んでいない、官僚や政治家が国民不在で物事を決めてゆくという思いが、特に最近強くなっているではないか?そういう意味では、EU懐疑派の主張を最初からバカにするのではなく、これを機会に立ち止まって、国民とEUとの関係を見直す時ではないか?
確かに、EU内で民主主義の危機というのあるかもしれない。政治家たちは国民の言うことにもっと耳を傾けるべきだという人は多い。それでも、有権者というのは、つじつまのあわないことを望んでいる。
例えば、ギリシャでは、国民はユーロを維持したいと望んでいるが、自分たち自身はお金を払わずに、自分たちの都合の良いようにユーロを使いたいと考えている。ギリシャの国民が、自分たちが望む政策を、EUのほかの国に住む人々全員に押し付けてもいいものだろうか?
私が考えるに、欧州で民主主義の危機が起きているというとき、これはつまり、政治家たちが国民に対し、難しい真実を告げていないことにあるのだと思う。
それともう一つ、単一通貨があるEUで暮らすときに、単に加盟国のそれぞれの政府が集まって物事を決めるだけでは十分ではないという点がある。欧州レベルでの政治体系が必要なのだと思う。これは本当に基本中の基本となること、知性の意味でも、政治の意味でもそうだと思うけれども、つまり、単に国の政府を集めただけでは、EU市民全員を巻き込む問題を決定できない。欧州レベルでの民主主義を反映させる構造が必要だと思うーー現状の欧州議会の制度では不十分だ。
―経済のみならず、政治的にももっと統合されるべきと?
個人的にはそう思う。欧州レベルの政党や政治家がいてこそ、欧州の問題に欧州的な解決策を与えることができる。
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以下は、13日から14日にかけてのアップデート情報。
ロイター:欧州が財政統合強化へ、スウェーデンの新協定署名には不透明感
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE7BD01Q20111214?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0
(一部の抜粋)欧州連合(EU)のファンロンパイ大統領は13日、英国を除くEU加盟26カ国が参加を表明している新財政協定について、2012年3月までにはまとまるとの見方を示した。大統領は欧州議会で「遅くとも3月上旬までに財政協定は署名される」と語った。
外交筋によると、新財政協定の草案の第1稿は来週には策定される。ただ、ユーロ加盟17カ国以外で新協定に参加する国のうち、スウェーデン、ハンガリー、チェコなどは新協定を全面的に支持するために議会での承認が必要になる。EUは26カ国すべてが来年6月までに新協定を批准することを目指すとしている。
また、スウェーデンのラインフェルト首相はこの日、欧州の新たな財政協定に同国が署名するかどうかは不透明だと述べた。これを受け、同国が英国と同様に新協定への参加を見送る可能性が高まった。ブルームバーグ:キャメロン首相の独自路線で、英国のEUからの独立高まる公算小さい (一部の抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LW4IL00UQVI901.html
12月13日:キャメロン英首相は欧州のユーロ救済の取り組みから距離を置くことを決定したが、だからと言って英国のEUからの独立性が高まる公算は小さい。
以前と状況が異なるのは、キャメロン首相の独自路線の決定を受け、同国の外交官が失地回復に努めなければならない可能性があることだ。問題になるのは、金融サービス、エネルギー、農業助成金、防衛協力などの規制にかかわる決定だ。
ロンドンの英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のディレクター、ロビン・ニブレット氏は電話インタビューで、「現在、英国に対してはあまり善意が示されていない」と述べ、「短期的には、英国の外交官に対しい幾らか悪感情が示されるだろう」との見方を示した。キャメロン首相は8、9両日の欧州連合(EU)首脳会議で、将来の金融規制に対する英国の拒否権が保証されることなしに、財政協定に合意することを拒否。ロンドンの欧州の金融センターとしての地位が脅かされるためだと説明した。(ブログ「英国メディア・ウオッチ」より)
Nファーガソンが描く、2021年のユーロ・欧州像が面白い
スコットランド出身の歴史学者N・ファーガソンが、米ウオール・ストリート・ジャーナル紙に書いた記事「2021:新しい欧州(The New Europe)」(11月19日付け)が、なかなか面白い。先ほどまた見たら、ツイート数が1700を超えていた。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970203699404577044172754446162.html
ファーガソンは現在ハーバード大学の教授で、何冊も著作がある。よく「気鋭の若手歴史学者」と紹介されている。私も何冊か、著作を持っているのだがーーとても勉強になったものもあれば、??と思うものの個人的にはあったけれどもーー私の印象では保守派ではないかと思う。右か左かというと右という感じ。(左右で分けるのはもう古いと何度かいろいろな人に言われているのだが)。そこをとりあえず踏まえて読んでみたのだが、2021年の欧州像が当たっているのかどうかは別としても、「ありそうな話」なので、一種の知的遊びとしても非常に面白い、ということになる。本当にそうなりそうな感じもしてくる。
ファーガソン氏によれば、
*ユーロはなくならない。生き残る。
*しかし、欧州連合・欧州はいまの形では残らない。
*英国はEUから抜け出て、アイルランドはかつて独立した国、英国と再統合するーーアイルランド人は、ベルギー(いまのEUの本部)よりも、英国のほうがいい、というわけである。英国では国民投票が行われ、僅差でEUからの脱退が決まる。支持を得たキャメロン首相は、今度の総選挙で自分が党首となる保守党の単独政権(2011年現在は、親欧州の自由民主党との連立政権)を成立させる。2021年時点で、キャメロン首相は4期目を務める。
*EUの本部はベルギー・ブリュッセルではなく、オーストリア・ウィーンに移動する(ウィキペディア:ウィーンは第一次世界大戦まではオーストリア=ハンガリー帝国の首都としてドイツを除く中東欧の大部分に君臨し、さらに19世紀後半まではドイツ連邦や神聖ローマ帝国を通じて形式上はドイツ民族全体の帝都でもあった)。
*独立心の強い北欧諸国は、アイスランドを入れて、自分たち自身のまとまり=北部同盟を作る。
*EUはドイツが中心となって、「ユナイテッド・ステーツ・オブ・ヨーロッパ」(欧州合衆国)となる。さらに東欧諸国が入り、2つの言語で割れていたベルギーは原語圏に応じて2つの国となるので、この合衆国の加盟国は29になるという。ウクライナも加盟を望む。英国や北欧諸国は、合衆国を「全ドイツ帝国」と影で呼んでいる。
*合衆国内では、ドイツがある北部と、ギリシャ、イタリア、ポルトガルがある南部には大きな差がある。南部諸国では失業率が20%近くになるが、心配することはない。連邦制だから、北部から資金が流れてくるのだ。
欧州から目を離し、中東や米国はどうなるのだろう?
ファーガソンによれば、
*「中東の春」は長く続かなかった。2012年、イスラエルがイランの核施設を攻撃し、イランはガザ地区やレバノンに攻撃を返す。イスラエルのイランへの攻撃を米国は防げなかった。イランは米国の戦艦をとりおさえ、乗組員全員が人質になる。この大きな失態で、オバマ米大統領の再選への夢は消えたのであるー。
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この将来像はあくまでも1つの仮説、あるいはお遊びであろうし、ファーガソン氏の政治傾向も考慮して判断しなければならないが、「英国とアイルランドがくっつく」・・・というのがなんとなくありそうで、連日のEU論争を少し長い目で見れそうな気がする。
ファーガソン流に考えれば、決して将来は暗くなく、それぞれの国は引力のようなものによって、落ち着くべきところに落ち着く。外に出たい国は出るし、中にとどまりたい国はとどまるのである。それぞれに違った状況があるのに、「何とかして、全体を守ろう・現状を維持しよう」とするから無理があるのかなと思えてくる。〔ブログ「英国メディア・ウオッチ」より)




