大晦日の夜、ロシアでは2人の「DM」が大忙し

pu5 これまでは、デード・モローズ(Ded Moroz、霜お爺さんモローズ)の家族としては孫娘である雪娘のスネグロチカ(Snegurochka)しか知られていませんでしたが、デード・モローズには従弟もいることがわかりました。その従弟とは、ロシアの現大統領であるドミトリー・メドベジェフなのです。

 二人は名前のイニシャルが同じですー「DM」 (Ded MorozとDmitrii Medvedev)。

 デード・モローズの従弟の人形には、サンクト・ペテルブルグにある人形ギャラリーの「デード・モローズと従弟」という美術展で会うことができます。 

 従兄弟同士である二人のDMの仕事の内容は、似ています。新年の祭りにスピーチをしたり、人々からきた手紙に返事を出したり、訪問したりなどです。 

 大晦日の夜12時10分から従弟のDMによる大統領の教書 (新年の祝賀の言葉) はテレビで放送されます。その同じ頃、従兄のDM“霜お爺さんモローズ”も沢山のモミの木のお祭りでのお祝いのスピーチにとても忙しいのです。

 手紙を書くこともこの二人の従兄弟であるDMの役目です。大人の人の中には、あたかも大統領が「霜お爺さんモローズ」であるかのように思って、大統領に奇跡を期待して手紙を書く人もいます。大統領であるDMは、本物の霜お爺さんモローズのようにその望みをかなえたりかなえなかったりすることができるのです。

 霜お爺さんモローズの新しい従弟は、シューバ(毛皮のコート)を着ていません。スーツを着ています。美術展ではシャンパンのはいったグラスを持ってモミの木のそばに立っています。人形を製作したヴァルヴァラ・スキリプキナさん(写真、上)は、この人形を作るのはとても難しかったと言っています。「ごくありふれた顔つきでこれと言った特徴もあまりないので、製作するのはとても難しかったのです」。 

 ヴェリキイ・ウスチュグにある自分の官邸に住んでいる従兄のDMとなる霜お爺さんモローズの政治家としてのキャリアは、新しい年を迎えるこの時期に、ピークにあります。  霜お爺さんモローズはインターネットに自分のブログを持っています(http://www.TvoyDedMoroz.RU)。そこには、その他の多くことと一緒に、ロシアの国内の人々や海外在住のロシア人たちのための霜お爺さんモローズの新年の挨拶の言葉 (http://www.dedmoroz.us/node/46)が載っています。その祝賀の言葉の内容は不思議なことに大統領の新年の教書に似ているのです。しかし、そのことは別に驚くにあたりません。なぜなら二人は従兄弟同士なのですから!

 霜お爺さんモローズのDMと大統領のDMは二人とも新年の祝いの主役です。それで、もし霜お爺さんモローズが2012年の来たる次期大統領選挙に立候補すれば、選挙に勝利するチャンスは大いにあると考えている人もいます。(つづく)

日刊ベリタより再掲載

http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200912300937213

サンタクロースはロシアに来ない?<下> 

yuki3 「霜お爺さんモローズ」と孫娘である「雪娘」は、正月に新年の祝いに来ます。その祝いは「新年のモミの木の祝い」と言います。霜お爺さんと雪娘は子供たちに謎をかけ、モミの木の周りで輪踊りを踊ります。子供たちは森の動物に扮した仮想舞踏会やロシアの昔話の主人公の衣装を着て歌を歌ったり、踊りを踊ったりします。その中でも「雪片の踊り」はとても人気があります。たいがいのロシアの女性は子供の頃「雪片の踊り」を踊ったことを思い出すことができます。

霜お爺さんモローズはプレゼントをモミの木の下に置きます。ブーツやストッキングはだめです!靴かソックスでなければいけません!霜お爺さんモローズは体が大き過ぎて煙突から入れないのです。それに、ロシアでは暖炉は使わないのです。

ところで、モミの木はゲルマン民族やスラブ民族では火の象徴であり、火は時の流れを表わしていました。昔の意味は、英語の「fir-tree」です。「fire-tree」というのは、「火の木」を意味します。モミの木の飾りにも意味があるのです。それは「火の木」に住んでいる魂に贈り物をするという意味なのです。

冬休みには、子供たちはいくつかの「新年のモミの木の祝い」に参加します。その場所は、幼稚園や学校や両親が働く会社や知り合いの家などです。学校に行くと、子供たちはみんないくつ「モミの木の祝い」に参加したか、プレゼントはどこが一番良かったか、どこの雪娘が一番きれいだったかなどお互いに話し合います。

「新年のモミの木の祝い」は娯楽産業になりました。「霜お爺さんモローズと雪娘の学校」があります。そこでは、2ヶ月ほど霜お爺さんたちや雪娘たちは、俳優の技術や子供心理学や踊りや、子供たちからの難しい質問に対する答え方などを学びます。

たいていの場合、霜お爺さんモローズや雪娘はアルバイトの学生たちです。そのアルバイトはとても楽しいので、「霜お爺さんモローズと雪娘の学校」に入るのにも、時々採用試験があります!

新年の夜には、多くの両親は子供たちを喜ばせるために霜お爺さんモローズと雪娘を家に招待します。(「霜お爺さんモローズと雪娘の学校」に予約します)。しばしば、霜お爺さんと雪娘は10軒もの家庭を訪問しなければなりません。訪問したどの家庭でも両親が霜お爺さんモローズと雪娘と一緒に新年のお祝いの乾杯をすることを望むので、往々にしてシャンペーンを飲み過ぎないようにしたり、詩や歌を忘れないようにすることがとても難しくなることがあります。この時期には、霜お爺さんモローズと雪娘が家々を回るために市内中を急いで回っている姿をよく見かけます。

しかし、霜お爺さんモローズの側にはひとつ問題が残されているのです。現代のロシア人から見て、霜お爺さんモローズに対する見方というのは一様ではないのです。霜お爺さんモローズというのは偶像崇拝の宗教神なのです。これには一神教のキリスト教徒の観点からは、相容れないことになってしまうのです。

しかし、一方では、霜お爺さんモローズというのは昔からのロシアの大切な伝統文化に属するものなのです。それで、霜お爺さんモローズの官邸のあるヴェリキイ・ウスチェグ市の所在するボログダ地方の主教は良い解決策を思いつきました。我らが霜お爺さんモローズがキリスト教の洗礼をうけるならば、大いに歓迎しましょうというわけなのです。

それでは、皆様、一足早く、「もうすぐ新年、おめでとうございます!」 (つづく)

日刊ベリタより転載

http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200912192128426

英紙ガーディアンがアイフォーンで有料アプリ発売―有料・無料のまやかし

09.12.15 by   カテゴリー: ニュースあれこれ, メディア

英国の中道左派ガーディアン紙が、今朝、アイフォーン用の新しいアプリの提供を開始した。

http://www.guardian.co.uk/media/pda/2009/dec/14/guardian-iphone-app

驚いたことに、有料だった。2・39ポンド(約345円)。金額だけ見ると高くないように見えるが(今時、英国で2-3ポンドで買えるものといったら、サンドイッチぐらいだろうか)、アイフォーンでニュースのアプリのリストを見ると、大体1ポンド以下。中東の衛星放送アルジャジーラ英語でも1・79ポンド。2・39ポンドは破格に高い金額と言える。

このニュースを知ったのは、ツイッターで、ガーディアン編集長(アラン・ラスブリジャー氏)が「新しいアプリが出た」とつぶやいたからだ。その後で、同紙のデジタル担当のエミリー・ベル氏や毎週「メディアトーク」という番組を作っている同じくガーディアンのメディア記者、マット・ウェルズ氏も「すごい!是非使ってみて」とつぶやいていた。

アイフォーンのアップ・ストアに行って、該当するアプリを探した。無料ではないことを知った時、私は裏切られたような思いがした。それは、ガーディアンはラスブリジャー編集長にしてもベル氏にしても、「ニュースは無料で行く。有料化を主張する(米ニューズ社の会長ルパート・)マードックの考えには大反対だ」と常々、言ってきたからだ。また、テレグラフなどのほかの英大手紙のアイフォーン用アプリは無料なのだ。

つまるところ、「ニュースは無料(民主主義の観点から、またインターネットはそういうものだから)」というガーディアンのスタンスを、取り下げないままに、実は有料の分野に堂々と踏み込んだ、という感じがしたのだ。マードックの動きを大批判しておきながら、である。

ガーディアンはネットを通じて無料でニュースを配信することを捨てたわけではない。今でも、PCや携帯サイトから無料で記事のアーカイブや動画も含め、視聴・閲読できる。しかし、有料の道も同時に準備しているーということなのであろう。

新聞サイト、あるいはニュースサイトの有料化・課金制に関しては諸説あるが、見逃してはならないのは、「有料か、無料か」つまりは黒か白かの2者択一の選択ではない点だ。0かあるいは100、ではない。例えば、英インディペンデント紙はサイトの記事を印刷の際、一定の枚数以上では課金する仕組みをとっているし、タイムズはクロスワードパズルが一部有料となっていると聞いた。

昔、インディペンデントは論説記事を有料にしていたが、今はそれはやっていないようだ。しかし、アーカイブなどの一部を有料、というのは「ニュースは無料」という看板を続けながらも導入が可能だろう。

英テレグラフの統括編集長ウイル・ルイス氏が、少し前の「メディア・ガーディアン」(ガーディアンの特集頁)インタビューで、「有料か無料かの議論は、ちょっと嘘くさい」と発言していたが、まさにそんな感じである。

フィナンシャル・タイムズのウェブサイトでは、読み手が名前を登録しない場合、月に無料で読めるのは2本だけになる。名前を登録すれば、追加で8本、合計10本が無料で読める。これ以上は有料購読をしないと読めない。経済紙という専門領域を扱う新聞だからこんなことができる、という人もいるが、他の一般紙では、特別の価値のあるコンテンツ、例えばスポーツ、特定のコラムニストのアーカイブ記事などを有料にするのはおおいにありうるだろう。最初から、「一般紙のサイトの有料化は無理」という論理はあまりにも大雑把過ぎる。

来年は、英大手メディア(主に新聞)のサイトでは、「知らないうちに有料化」の部分と無料で読める部分が混在したものが増えるのだろう。今はアレルギーがある(ニュースの)「有料化」が、何の抵抗もなく受け入れられるようになるかもしれない。

(「英国メディア・ウォッチ」12月14日分より)

サンタクロースはロシアに来ない?<上>

クリスマスを待ちながら、多くの国では子供たちがサンタクロースのプレゼントを願って靴とソックスを用意していますね!しかし、ロシアでは事情は違うのです!ロシアにはサンタはやって来ないのです!ロシアではサンタに代わって、“デード モローズ(Ded Moroz)”(霜のお爺さん)が子供たちにプレゼントを届けるのです。それも、クリスマスの時ではなく、お正月の時なのです。

サンタと“霜のお爺さんモローズ”は親戚ではないのです。それぞれ異なる文化伝統の中で生まれたのです。

サンタクロースというのはキリスト教の聖職者聖ニコラウス(Saint Nicolaus)のニックネームです。聖ニコラウスは、当時ニューアムステルダムという名であった現在のニューヨーク市の初期の入植者たちからシンタークラース(Sinter Klaas)と呼ばれていました。

ニューアムステルダムでは、聖ニコラウスは貧者の家々の煙突から金の入った袋を密かに落として回っていたと言われています。そして、その袋は暖炉に掛けられていたストッキングの中へと落ちて入ったのです。これが、クリスマスイヴにサンタクロースのプレゼントを期待してストッキングを掛けておく習慣の由来なのです。

聖ニクラウスは、神は人々に富の差異を作らなかったという理由で、富者はその富を寛容の精神を持って貧者と分かち合わなければならないというカトリックの精神を具現していました。 ロシアの“霜のお爺さんモローズ”はキリスト教とは無関係です。スラブ神話の人物です。“霜お爺さんモローズ”というのは、スラブの重要で厳格な(恐怖をいだかせる)先祖の神“デード”なのです。今でも、北方の民族は“霜お爺さんモローズ”をなだめるために、家から外へ向かってクッキーを投げ、外へお酒を振り注ぎます。

スラブの伝説では、“霜お爺さんモローズ”というのは冬の酷寒の象徴なのです。”霜お爺さんモローズ”は白髪・白髭のおじいさんなのです。そして、氷の家に住んでいて、雪の蒲団に寝ているのです。長いシューバ(毛皮の外套)を着ていて、ボヤリンの帽子をかぶって、ワーレンキをはいているのです。“霜お爺さんはモローズ”は出かける時はトロイカ(三頭立ての馬車)に乗ります。

一番の特徴は、この“霜お爺さんモローズ”は一人ではないのです。いつも孫娘である“雪娘”が一緒なのです。(この“雪娘”は縁起がいいと言われています!)  “霜お爺さんモローズ”の生活には分からないことが沢山あります。このお爺さんは結婚しているのでしょうか。もし、結婚しているとすると奥さんはいったい誰なのでしょうか。家はどこにあるのでしょう。きっと、ずっと北方で一年中冬があるところなのでしょう。

1998年に、”霜お爺さんモローズ“はヴェリキイ・ウスチュグと言う町に移住させられました。そこにお爺さん用の官邸が建てられました。ロシアでは大統領だけが官邸を持っていたのですが、今や”霜お爺さんモローズ“も官邸を持つことになったのです。これで、” 霜お爺さんモローズ“の官邸のある静かな地方の町は急に活気を呈しました。ヴェリキイ・ウスチュグは観光地になりました。沢山の人々がそこを訪ねるようになりました。また、多くの子供たちが”霜お爺さんモローズ“に手紙を書くようになりました。

“霜お爺さんモローズ”は自分の印鑑を持っていて、“ツァーリ(皇帝)”の肘掛の椅子に座っています。現代のロシアでは、“霜お祖父さんモローズ”は今や人気ブランドだと言えます。プーチン大統領の時代、大統領選挙の期間中、子供たちはプーチン宛に手紙を書くよう勧められました。ある少女は次期も大統領に留まってくださいとプーチン宛の手紙を書きました。(つづく)

日刊ベリタより転載 http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200912131414580

国家試験改善が急務ーインドネシア人看護師らの受け入れで支援団体が政府に要望書提出へ

09.12.12 by   カテゴリー: ニュースあれこれ

日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)により来日しているインドネシア人看護師・介護士候補生たちと、その受け入れ機関を応援しようと、今年5月に発足した「ガルーダ・サポーターズ」の集いが11月28日、大阪府吹田市で開かれた。受け入れ施設の責任者や候補生たちが多数集まり、現状報告や現行制度の問題点、および国家試験に関する対策などが話し合われた。ガルーダ・サポーターズでは、今月中にも改善策をとりまとめ、政府に提出する予定だという。

―多くの問題点をはらんだEPA

現在、第一陣として2008年8月に来日したインドネシア人看護師・介護福祉士候補生たちは、それぞれの受け入れ病院や施設で働きながら、日本語学習や国家試験合格のための勉強を続けている。

この日は、受け入れ機関や候補生らを対象に、ガルーダ・サポーターズが実施したアンケート調査の中間報告がなされたのだが、その結果から見えてきたのは、EPAの制度自体に対する問題点だった。

「EPAでの受け入れ方法に関して改善すべき課題はあるか」との問いに対し、9割を超える受け入れ施設が、「やや課題がある」「多くの課題がある、問題だらけだ」にチェックをつけた。課題があると考える理由としては、「日本語学習に対する国の支援や関わり方に問題がある」「国家試験対策について現場任せになっている」「受け入れ施設の経済的な負担が大きい」などが挙げられており、改めて、政府が受け入れ施設側に丸投げをしている実態が浮き彫りとなった。

いっぽうで、アンケートに答えた候補生たちの半数近くが「EPAの課題」として挙げたのが、「インドネシアでの説明が不十分」という点だった。

つい先日も、「資格や業務の内容、給与水準などがインドネシアで聞いていた話と違う」として、看護師候補生の一人が帰国したことは記憶に新しいところだが、こうした事態を招いた原因は、人員集めに躍起になっていたインドネシア政府が、給料から保険料や税金などが天引きされることを正確にアナウンスしていなかったことや、現地の新聞に誤った賃金体系が掲載されるなどの行き違いがあったからだと見られている。

―受け入れ施設側にも大きなプレッシャー

受け入れ施設側も候補生側も、ともに頭を悩ませているのが日本語の習得と国家試験対策だ。候補生たちの9割近くが、「研修や仕事、生活で困ったことは?」という問いに対して、「日本語学習」や「国家試験の対策」を挙げており、3~4年以内に試験にパスしなければならないプレッシャーを感じている。

しかし、候補生たち以上にプレッシャーを感じているのは、受け入れ施設側だとも言える。

ほとんどの候補生たちは日本語の知識がゼロの状態で来日し、6ヶ月間は国の研修施設で日本語研修を受ける。しかし、受け入れ施設に移ってからは、すべて施設側が用意したカリキュラムや教材に沿って、日本語学習ならびに国家試験の勉強を続けることになっている。つまり、候補生たちが国家試験に合格するか否かは、受け入れ施設側の肩にかかっていると言っても過言ではないのだ。

現在2名の看護師候補生を受け入れている大阪府内の病院の看護部長は、現状報告会のなかでこう訴えた。

「候補生たちが日本語をマスターし、3年間で国家試験にパスすることは容易ではない。私たちは病院を挙げて彼女らの勉強をサポートしているが、このままでは国家試験に合格することは絶望的。日本政府は『どうぞ来てください』と言って彼女らを迎え入れたのに、このまま大多数の候補生を追い返してよいのだろうか? 早急に国家試験の方法を見直してもらわねば、この先、候補生を受け入れることは難しい」

病院は候補生を受け入れるにあたり、看護部長みずからがインドネシア語の会話集を買い集め、病院内でスムーズに仕事ができるよう、日本語学習のための教材を作成した。さらには、地域のボランティアを講師に招き、国家試験対策や日本語の勉強会を毎日のように行っている。

もちろん、かかる費用はすべて施設持ちである。受け入れる病院や施設によって差は見られるものの、どこの受け入れ先も「なんとか合格してもらいたい」という思いで教育にあたっていることは間違いないだろう。

―介護の質を落とさずに、候補生たちのレベルを引き上げることが大切

“国家試験合格”という目標を実現可能な着地点にするためには、どのように制度を見直せばよいのだろうか。

国家試験の対策としては、現在のところ「漢字にルビをふる」「試験時間を延長する」さらには、「在留期間を延長して試験を受けられるチャンスを増やす」などが検討項目として挙がっている。

「試験時間の延長」ないし「在留期間の延長」に関しては、どの受け入れ機関や候補生たちからも賛成する声が多いようだが、「漢字にルビをふる」という改善策に関しては、「候補生たちは“漢字”を象形でとらえて意味を覚えようとしているので、ひらがなでルビをふってもあまり意味がない」という意見や、「老年介護の分野では、インドネシアにはない看護用語も登場するため、漢字で覚えたほうがスムーズ」といった意見が一部の施設から挙がっているという。

ガルーダ・サポーターズの共同代表であり、みずからも訪問看護の第一線で活躍する看護師である宮崎和加子さんは、「すでに国家試験合格を諦めて、『3年間日本で稼いで帰ろう』と目標を切り替える候補生も出てきている。早急に国家試験の方法を見直すことで『がんばればチャンスがある』ということを示してやることが大切」と述べたうえで、「とは言っても、試験を簡単にして合格させれば良いというものではない。看護や介護の質を下げて、被害を受けるのは患者や利用者。日本の看護レベルを落とさずに、候補生たちを引き上げていく方向で見直しをすることが大切」と、国家試験の方法も含めて、EPA制度自体の改善の必要性を示唆した。

いずれにせよ、候補生や受け入れ施設側の苦労が無駄にならないよう、早急かつ柔軟な対応が求められている。

(注:文中のアンケート結果は中間報告です。正式な結果は12月中に集計される予定。)

日刊ベリタより転載  http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200912051211426

英テレグラフ紙が議会のタブーに挑戦―下院議員の経費乱用の実態、明るみに

09.12.03 by   カテゴリー: ニュースあれこれ, メディア

英高級紙デイリー・テレグラフが暴露した下院議員の経費超過請求問題は、第一報からほぼ7ヶ月の現在もいまだその余震が続いている。来年春の総選挙まであと半年を切った英国では、一連の報道後、現職下院議員の半分が既に出馬を取りやめる意向を表明している。今年の英政界を揺るがせたテレグラフの経費問題報道に改めて注目した記事「英テレグラフ紙が議会のタブーに挑戦―下院議員の経費乱用の実態」(「メディア展望」12月号掲載)をここに転載したい。

今年5月上旬、英高級紙デーリー・テレグラフが下院議員の経費超過請求にかかわるスクープ報道を開始した。「別宅手当て」と呼ばれる制度を利用して、完済している住宅ローンの金利の支払いを請求したり、経費を使って家を改修後売却し、その売却益で私腹をこやすなどの実態が明るみに出た。税金を私利私欲に使う情けない議員の姿に国民は怒り、落胆した。テレグラフ紙は姉妹紙のサンデー・テレグラフと共に連続35日間、一面トップで経費問題を扱い、複数の閣僚の辞任が生じた。報道開始から2週間後、下院議長までも辞任の意向を表明せざるを得なくなった。年内か年明けには一部議員が窃盗・詐欺法違反で起訴される可能性も出ている(11月23日時点)。

現在までに、テレグラフ担当記者による、報道の顛末をつづった著作「No Expenses Spared」(「どんな経費も逃さない」の意味)が出版され、映画化も予定されているという。

ドラマ化されても不思議はないほど迫力ある一連の報道は、昔ながらの新聞ジャーナリズムの復活を思わせた。ネットはあくまでツールであって、最後は独自のジャーナリズムが決め手となるー筆者にそんな思いを抱かせた。

今年、英国の様々なジャーナリズム大賞を受賞することが予想される、同紙による報道の経緯とその影響に改めて注目する。

―「別宅手当て」とは

話を始める前に、ここで問題にする「経費」とは主に「別宅手当て」(通称、正式には「追加費用手当て」)であることにご留意願いたい。議会があるロンドンから遠い場所を選挙区とする下院議員は、議会開会中、ロンドン近辺のホテルに泊まるか、選挙区にある自宅とは別に「別宅」としての住居が必要となる。別宅維持にかかる費用は手当てとして支給され、住宅ローンの金利や賃貸料、地方税、家具代、光熱費他必要経費が対象となる。議員の申請で支払額が決まる。請求最大金額は年間約2万4000ポンド(約350万円)。領収書なしで請求できる金額は昨年までは最大で250ポンド(現在は25ポンド)で、食費も毎月最大400ポンドまで請求可能だ。

別宅および本宅の区別は年間で宿泊日数の多い方が通常は本宅となる。しかし、複数回、本宅・別宅の区別を変更しても構わない。また仮に本宅を別宅として申請すれば、別宅手当てを本宅での経費を負担するために使える。別宅手当ては乱用しやすい仕組みになっていたともいえる。

―情報公開に向けての戦い

テレグラフ報道につながる動きとして、議員経費の情報公開を求めてジャーナリストたちが立ち上がったのは、2004年だ。ロンドンに住む米国人ジャーナリストのヘザー・ブルック氏が、下院に対し議員の経費情報の公開を求めたところ、別宅手当ての総額と使途の要約が取得できただけだった。米国で調査報道にかかわった同氏は、国民に選ばれた議員にかかわる公的情報が簡単には入手できないことを知り、愕然とした。

翌年、政府省庁や公的機関にかかわる情報の公開を国民が要求できる情報公開法が施行となった。これを利用してブルック氏が下院議員全員の経費情報の公開を要求したところ、「実行には費用がかかりすぎる」として拒絶された。同年、高級日曜紙サンデー・タイムズや夕刊紙イブニング・スタンダードの記者らも数人の議員の経費情報の公開を要求し、いずれも拒絶されていた。ブルック氏を含むジャーナリストたちは、情報公開を進めるために設置された「情報コミッショナー」の事務所に窮状を訴え、コミッショナーは情報公開をすべきだと結論付けたものの、下院側がこれを拒否。情報公開をめぐる争いは裁判沙汰にまで発展した。

紆余曲折の後、今年1月には、すべての下院議員の経費を7月に公開することをブラウン英首相が確約した。3月ごろ、全議員の詳細な経費情報が入ったディスクが何者かの手によって下院の外に流出し、大手媒体の買い手を求めているという噂が出るようになった。テレグラフが経費請求の実態を細かく報道できたのは、このディスクを入手したからだった。

―秘密のディスク

3月末、テレグラフ紙の政治記者がPRコンサルタントから連絡を受け、英陸軍特殊空挺部隊(SAS)の元隊員の男性がディスクを持っていることを知った。交渉の末、4月、タバコのケースほどの大きさのディスクを受け取ってみると、中には過去4年間にわたる、全下院議員の経費請求にかかわる領収書やメモなど膨大な量の書類が保管されていた。

ディスクは何故作成されたのだろう?

先の「No Expenses Spared」によれば、下院内では、7月の経費情報公開に向けて議員の住所、その他の個人情報や外に出せない情報を「編集する」(黒塗りにする)作業が行われていた。一定の人数の人員がこの作業に配置され、作業室から秘密が漏れないよう、英軍兵士たちに入り口を警備させていた。

兵士たちは2003年のイラク戦争に派遣された経験を持っていた。現地では、政府が十分な機材や装備を与えなかったために無駄に兵士が亡くなったと兵士たちは感じていた。今度はアフガニスタンに派遣されるに当たり、安全度が高い装備を自前で購入するには低い給与では不可能で、アルバイトをして追加収入を稼がざるを得なかった。そこで作業所で警備員として働くことになったのだった。兵士たちの悔しい感情や、黒塗り作業をしながら議員の経費乱用に怒りを募らせる作業員たちの姿が「No Expenses Spared」の中で描かれている。ディスクを作成し、これを元SAS隊員に渡した人物の名前を著作は明らかにしていないが、作業にかかわった人物の中のある男性が、英兵の置かれている状況と議員の経費乱用ぶりに義憤を感じ、元SAS隊員にディスクを渡したことになっている。

―問われた「小切手ジャーナリズム」

ディスクをテレグラフに託した元SAS隊員の条件は「一部の議員だけでなく、全ての議員を対象にして報道してほしい」「情報提供料として11万ポンドを支払ってほしい」だった。大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドの元編集長がガーディアンによる盗聴疑惑報道の関連で認めたように(前掲の記事参考)、大衆紙が情報提供者にお金を払う(小切手ジャーナリズム)行為は常習化しているようだ。しかし、高級紙は少なくとも表向きにはこうした慣習がない。現に、タイムズがアプローチを受け、3万ポンドの情報提供料の支払いを求められた後で、ディスクの受け取りを却下している。11万ポンドの支払いは金額自体が大きいことに加え、テレグラフでは通常情報を買うことがないため、記者は情報取得は不可能と思ったが、ウィリアム・ルイス編集長(当時)を含め、経営陣もこれを最終的に承諾した。

4月末、ライバル紙に情報が漏れるのを防ぐため、テレグラフ紙では数人の記者を「研修」と称して一室に集め、他の記者や家族にも他言をしないよう伝えて、膨大なディスク情報の分析を開始した。原稿を書く前に情報の解読と確認に2時間を要したという。該当する議員のコメントを求めた後で原稿を作った。5月7日夜、ウェブサイト(紙媒体は8日付)で「内閣の経費にかかわる真実」と題した第一報を開始。翌日以降も、ブラウン首相をはじめとする閣僚や与野党議員の経費超過請求の実態を次々と暴露していった。別宅手当ては「議員の活動に必要」とされる経費(住居を含む)に支給されるが、あひるの家が建設された庭の維持代に1万2500ポンドを請求したり、夫婦両者が議員の場合、同じ住宅を別宅として経費を二重請求するなど、庶民の感覚では不当と感じる経費請求が目白押しとなった。他に超過請求の手口とは①「別宅」と「本宅」の定義を適宜変えるー本宅を別宅とすることで、別宅手当てを受け取る②別宅手当てで住宅を改装した後売却し、売却益を得る③住宅ローンを支払い終わっていても、ローン金利の支払いを請求する④退職直前に改装を行う⑤別宅用として購入した家具などを後で本宅に運ばせる⑥子供が住む住宅を別宅として届け出て、手当て収入を得る、など。

ウェブサイト上に経費問題に特化したページを作り、それまでの経緯と共に議員の反応を動画に撮り、掲載もした。ディスクを持っていない他メディアは連日のテレグラフの報道を後追いする羽目になった。同紙の発行部数(通常は約90万部)は報道の初日5月8日には8万7000部増え、同月一杯は1日平均1万9000部増加した。6月21日(土曜日)は、経費問題を特集した小冊子を付録に付け、通常の土曜日発行分より約15万部多く売れた。

テレグラフによる「問題経費」の請求者にはブラウン首相、ストロー司法相などの政府閣僚や、保守党、自由民主党など野党議員、無所属議員も含まれていた。報道に対し、多くの議員は「合法に経費を申請している」と反論したが、選挙民からの不信の高まりを察知し、経費の一部を返還する議員も続出した。手当ての内訳の公開を拒んできたマイケル・マーティン下院議長(当時)は世論の風当たりに耐えられず、5月19日、6月末での辞任を発表した。下院議長が辞任を強いられるのは1695年以来だ。

来年5月までに行われる次期総選挙には立候補しないと表明する政治家も多く出ている。テレグラフの見込みでは、現行の下院議員646人のほぼ半数に当たる325人の議席が新たな議員を迎える。

先の「No Expenses Spared」によると、ルイス・テレグラフ編集長は当初、ディスクを入手した件で自分自身や記者が警察の取り調べを受け、逮捕あるいは禁固刑が科されるのではないかと非常に心配していたという。同紙は記者やデスクが自宅や編集室で逮捕される可能性を考慮して、弁護団を手配した。しかし、マーティン下院議長辞任宣言の日、報道には「公益性がある」として、ロンドン警視庁から捜査を行わないとする声明文が届いた。

―黒塗りだらけの経費情報

6月18日、下院は、7月に公表予定だった議員の経費情報を繰り上げ公開した。大部分の書類は議員の住所などの身元情報が黒く塗りつぶされていた。テレグラフ紙はオリジナルの文書と下院が公表した文書を並べて見せた。議員の別宅・本宅の住所が塗りつぶされた場合、別宅手当ての乱用は国民の目に触れることはなかった。

政治とお金にかかわる問題を吟味する公務員基準委員会は11月上旬、議員手当て制度を改革するための提案書を出した。この中で、今後請求対象に入らないものとして、別宅の住宅ローン金利、庭の手入れや清掃代を挙げ、別宅と本宅の定義を変えて利益を得ることや議員の家族を自分の事務所で雇用することを禁止する提案を行った。今後、経費の請求に関しては、新たに設立された独立議会基準局(IPSA)が管轄することになった。しかし、IPSAのウェブサイトは「オープンさと透明性が基本原則」であるとしながらも、経費情報すべてが公開されるかどうかに関しては、「どこまでの情報をどのような形で公開するかの詳細はそのうち」公表すると書かれている。はたして「秘密のディスク」を再度持ち出すことなく、広く情報が開放されるかどうか、不安が残るのが現状だ。

―期待される調査報道

テレグラフの経費請求報道は英メディア界、一般国民の間で高く評価された。当初批判された、情報をお金で買った点に関しては、「公益があった」としてその必要性を認める見方が大勢となった。

ルイス・テレグラフ編集長はメディア業界雑誌「プレス・ガゼット」11月号の中で、これを機に「社内で長期的な調査ジャーナリズムに人材を配置する土台ができた」と語っている。1970年代、サンデー・タイムズ紙は睡眠薬サリドマイドの人体への悪影響を暴露し、調査ジャーナリズムの旗手として名声を得た。ルイス氏はテレグラフ紙にもそんな伝統を根付かせたいと願っているという。一方、同記事の中で報道チームの核となった二人の記者は「報道の本当の影響は、総選挙の結果に出ると思う」「まだこの報道は続いている」と語っている。

*『メディア展望』12月号(新聞通信調査会発行)からの転載。

http://www.chosakai.gr.jp/index2.html

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