【パレスチナの村から】①「村に生き、農業を続けること自体が抵抗なのです」
冬のパレスチナ自治区西岸地域の天候は荒れていた。中心都市ラマラでは、夜半、雨と風がホテルの窓を激しく打ち鳴らした。昼間も冷たい風が吹き、晴天と雨が交互に襲う。西岸地域の村を訪ねる旅人にとってはつらい天候だが、ここ3年、干ばつに悩まされている地元の農民にとっては恵みの雨だ。なぜ「パレスチナの村」なのか。空爆するイスラエルの爆撃機、火を吹く戦車、瓦礫の山と死者をなげき悼むパレスチナの人びと、テレビの映像を通しておなじみになってしまったパレスチナの現実の、その向こうで人びとはどんな日常を営んでいるのか、どんな思いで日々を過ごしているのか、この現実の先に何を見ているのか。村を歩き、農業の現場で農民と触れあう中で、そのことを知りたいと思い、日本の百姓や農業に近くで働の友人らと誘い合わせて私的な旅に出た。 (ラマラにて=大野和興・上垣喜寛)
「村を歩きたい」という私たちの願いを受け入れてくれたのは、パレスチナ自治区の農村で活動するふたつのNGOである。ひとつはパレスチナ農業復興委員会((以下PARC)、もうひとつはパレスチナ農業開発委員会(以下UAWC)。いずれも村に根を張り、イスラエルの占領により、深刻な影響を受けている農民とともに農村復興に携わっている。
「パレスチナの農業を語ることは、そのまま政治を語ることなのです」
PARCの事務局長を務めるカハリ・シーア(Khalil Shiha)さんの話は、のっけからそんな言葉で始まった。イスラエルの占領は農地と水の収奪から始まる。村に根を張り、農業と続け、農民として生きていくこと自体が、抵抗であり闘いなのだというのだ。UAWCの事務局長カリッド・ヒデュミ(Khaled Hidmi))さんも同じ表現を使った。
パレスチナのGDPに占める農業の割合は11%ほどで、就業人口のほぼ1割が農業で働いている。パレスチナでは農業は産業部門としても働く場としても、大きな存在なのだ。だが、農業の基盤である土地や水への破壊行為はすさまじい。たとえば、農地への灌漑が整っている面積の割合は、パレスチナでは10%にすぎない。あとは天水に頼る不安定な農業生産を余儀なくされている。
これに対して、イスラエルの入植者は占拠する農地の灌漑の割合は70%。貴重な水源のほとんどを持っていかれている。PARC作成の資料によると、ヨルダン川の65%、表流水の90%がイスラエルの管理下にある。
入植地はいまも増え続けている。少し古いが、やはりPARCの資料によると、2000年から2007年にかけ約8万haの農地が入植地として接収され、パレスチナの地域と社会、経済、くらしを文壇する分離壁の建設で村と農地、樹木の破壊がそれに輪をかけて進んでいる。
今回の旅の先導役を務めてくれている農業貿易の専門家で、パレスチナの農民が作ったオリーブオイルのフェアートレードを切り開いてきた近藤康男さんは、パレスチナ農業がおかれた現実の一端を次のように整理している。
一口に言って、パレスチナの農業は、占領され、分断・閉鎖・包囲され、そしてイスラエル経済に従属させられ、高コスト体質にされ、更にはごみ溜めにされた農業となっている。
○水・農地などインフラの没収・破壊・分断
○否応無しの農作業、特に収穫時、の制限と妨害
○その結果としての農作物の放置と品質劣化
○情勢の不安定化と移動制限による市場の喪失
○農業資材の購入、農産物の販売面でのイスラエル市場への依存・従属
○入植地からの未処理廃棄物・汚水による環境汚染
しかし、彼等の現実は耐え、黙々と営むことだけで済まされないところにある。自分の農地に辿り着くためには壁や金網を通るためにイスラエル兵と戦わなければならないこともあり、オリ-ブを収穫するために入植者の暴力と戦わなければならないこともある。
オリーブオイルはパレスチナの代表的な農産物である。そのオリーブの木をイスラエルは100万本切り倒したり重機を持ち込んで引き抜いた。UAWCの事務局長カリッド・ヒデュミさんは、「オリーブの木は私たちパレスチナ人にとって単なる農業用の樹木というだけでなく、私たちの歴史であり文化であり、誇りなのです」と話す。引き抜かれ持ち去られたオリーブの樹のなかには樹齢千年を超える世界遺産といってもよいものがたくさんあった。
こうした農業のおかれた現実を前に、食えなくなったり嫌気がさして出稼ぎに出たり、都市に出ていく若者も多い。しかしそこでも待っているのは失業という現実である。村にいて耕し、くらしていけるいける条件をどう作るか。私たちを受け入れてくれたふたつの組織はいまそのことを目指して様々な取り組みをおこなっている。農民自身に協同組合づくり、不足する資金の獲得、農村女性の自立と所得向上のための小さいが効果的なプロジェクト、都会に出て行った若者の帰農支援、新しい農業技術や販売の確立、世界の市民組織をつながってのフェヤトレードの開拓などなどだ。
こうした条件をみずから作り上げることで、村で農業を基盤に生活する根っこができあがる。それは奪われ土地を水を取り戻し、パレスチナの自立をつくりだす道でもある。以下、ヨルダン川西岸地域の村々を訪ね、そこでの農民の思いと取り組みを紹介していく。(続く)
日刊ベリタより転載
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201002051400485
ロシアのマースレニツァ(冬を送る祭り)<下> 遊びを楽しみ幸せな生活を願う
10.02.24 by タチヤーナ ・スニトコ カテゴリー: 世界の窓
現在は「マースレニツァ祭り」は8日間行われ、それぞれの日には特別な名称がつけられています。
初日の月曜日は「出迎えの日」と言います。昔は子供たちが朝家を出て、雪山を作って特別な詩を唱え、マースレニツァを呼びました。そして、「マースレニツァが来た!マースレニツァが来た!」と大声を出して、殴り合いの遊びをするのです。大人たちは初日には親戚を訪問します。
寒い冬を象徴する「マースレニツァ人形」は細い白樺の幹、枝、麦わらから作られています。「髪の毛」はお下げに結んだ亜麻の繊維であり、頭にはプラトーク(頭巾)をかぶっています。 麦わらと木は春の生物の力を現しています。
人形の手には「ブリヌイ」(パンケーキ)を作る器を載せて、望みを託した色とりどりの好みのリボンをつけるのです。そのリボンはマースレニツァ祭りの最終日に人形と一緒に燃やすと望みがかなうと考えられています。それぞれのマースレニツァ人形には「ヅニャ”(Дуня)」や」アヴドチヤ”(Авдотья)」などの名前をつけます。
2日目の火曜日は「ザイグリシ(遊びのはじめ)」と言います。様々なマースレニツァの遊びを楽しむ日です。たいていの場合、未婚の若者はパートナーを選びます。これは求婚する方法です。
3日目の水曜日は「ラコムキ (美食家・甘口)」と言います。「ブリヌイ」(パンケーキ)を楽しむ日です(右上写真)。この日には、姑はブリヌイを楽しむために婿を家に招きます。昔は招く婿が一人や二人ではなく5人も10人も招きましたので、娘が多い家族には大変でした。
ところで、マースレニツァ祭りでは沢山食べなければなりません。沢山食べるとその年は豊作になると言う考え方があります。それで、普段頑張らないロシア人もみんな頑張って食べます。ロシアの言葉では「犬が尻尾を振るように食べなければならない。」と言います。たびたび、若い女性も年寄りの女性も「良い姑(婿にブリヌイの御ちそうをする)」の歌を歌いながら村から村へ橇で周ります。
4日目の木曜日には「雄大なマースレニツァ祭り」が始まります。大衆行事の殴り合い遊びが行われます。マースレニツァ祭りの歌を歌いながらマースレニツァ人形を家から家へ回します。祭が始まると仕事は4日間禁止です。
5日目の金曜日は「姑の夜会(パーチー)」と言います。この日には婿の方がお返しに姑にブリヌイを馳走します。
6日目の土曜日は「義理の姉妹(現在の結婚式の習慣が)の夜会」と言います。結婚した若い女性は夫の親戚を招いてブリヌイをご馳走します。「ゾロブカзоловка」(義理の姉妹)という言葉は「悪(зло)」を意味します。もう一つの義理姉妹の名前は「ネヴェスツカневестка」です(ゾロブカとネヴェスツカは姉妹です)。「ネヴェスツカ」は「どこから来たのは知らないпришла невесть (неизвестно) откуда)」を意味します。夫の姉妹はその「どこから来たのは知らない」女性は好きではないのです。
7日目の日曜日はマースレニツァ祭りの最終日です。その日は「マースレニツァの見送り」・「キスの日」・「許しの日」です。人々は互いに許しを請います。「あなた対して悪いことをしましたかもしれません、許してください」、と言って、キスをして、深々とお辞儀をします。そして、寒い冬の象徴であるマースレニツァ人形にブリヌイをあげて焚火に入れて燃やします。
マースレニツァ祭りには大きなマースレニツァ人形だけではなく小さな家庭用のマースレニツァ人形も作ります。家庭用人形の大きさは20~25センチで、麦藁で作ります。顔は白で目・鼻・口なしの布製です。
「家庭用マースレニツァ人形」は家族の幸福・子孫の健康・家の守りのシンボルです。昔は、この人形を「クラスニイ・ウゴルКрасный угол」(床の間のような大事なところ)に飾りました。「マースレニツァ週間」中には、この人形を窓辺に飾りました。
さて、現在の結婚式の習慣である花嫁人形で車を飾るのが 家庭用マースレニツァ人形の由来です。
遊び好きなロシア人は幸せな生活についてこのように表現します。
「このような生活はまるでマースレニツァ祭りのようです!」 “Не жизнь, а Масленица!» (つづく)
日刊ベリタより転載 http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201002232024032
ロシアの「マースレニツァ」(冬を送る祭り)(上)断食前にたらふくご馳走を
10.02.21 by タチヤーナ ・スニトコ カテゴリー: 世界の窓
「バター週間」(冬を送る祭り)では「ブリヌイ」(パンケーキ)は天井まで飛ばされるー(ロシアの民謡より)
昔からの伝承によると、「バター週間」(冬を送る祭り)に「ブリヌイблины」(パンケーキ)を食べれば食べるほど、その年は良い年になると言われています。「マースレニツァ Масленица」(冬を送る祭り)とは「バター週間」という意味です(「マスロ масло」 はロシア語で「バター」という意味)。
マースレニツァは、ロシア正教より公式に認められている唯一のスラブ民族の偶像崇拝の祭りです。16世紀以前には「コモイェーヂツァ Комоедица」と呼ばれていて、春分の日に春を迎える祭りでした。16世紀には、ロシア正教は断食の期間である大斎期(イースターの前に、48日間続く)の期間中は祭りをしてはならないとし、祭りの時期を変更し祭りの名称もマースレニツァと変更しました。
毎年「冬を送り、春を迎える祭り」の時期は変わり、たいていの場合は、ひどい寒さの時期に行われるのです。2010年のマースレニツァは2月8日~2月14日でした。
多くのロシア正教信者にとって、マースレニツァは断食の時期に入る前に美味しいものを沢山食べることができる祭りです。現代のロシアではロシア正教の信者になることは一種のファッションのようになっています。しばしば体重を減らすことだけを目的にして信者になる人も増えています。
「ブリヌイ」(パンケーキ)は、「マースレニツァ祭り」で食べなければならないご馳走です。ずっと昔には、太陽を祭る儀式の際には酵母を入れず、丸い平らなケーキを焼きました。9世紀に入ると、酵母を使ってブリヌイを作り始めました。スラブ人はブリヌイを太陽の象徴と考えました。何故ならば、ブリヌイは太陽のように黄色く丸く熱いからです。これを食べると太陽のような力を得ることができると考えました。
マースレニツァには特別な飲み物もありました。名前は「スリヤー Surya」で、サンスクリット語で「太陽」、「永遠の光」を意味しました。
加えて、 スラブ民族は熊のイメージを抱いて魂を崇拝しました。 (熊のことを「コモ」と言います。それで祭りのことを古くは「コモイェーヂツァ」と言いました。)。熊にはブリヌイと蜂蜜を与えました。
昔は、最初のブリヌイは貧乏な人にあげるか又は先祖の魂へのお供えのために屋根窓の明り取りの場所に置きました。「コモイェーヂツァ祭り」は春分の日の前一週間と春分の日の後一週間の間、開催されました。
何世紀もの間、マースレニツァは大衆行事でした。ご馳走を食べ、小山から橇すべりをして遊び、火の神さまに「雪に火をつける」ように頼むために、焚火の上でジャンプしました。また、太陽の神様を敬い、「山からころがって、春を持ってきてくれ!」と山から火がついた大きい輪をころがすのでした。
すべり台やブランコ遊び、見せ物(道化芝居)、道化、テーブルの上に甘いものを並べて食べたり飲んだりすることなどが。マースレニツァのポピュラーな楽しみ方でした。この楽しみに加わらないと、その後幸せな人生が送れないとも言われました。一対一、時には集団の壁対壁での殴り合いをするのも、マースレニツァでの遊びの一つでした。中世のロシアでは殴り合いが大喧嘩に発展したり、死者が出ることもありました。
マースレニツァではもっと危険な遊びもありました。それは命知らずと熊が戦うという遊びでした。時には犯罪人を熊がいる檻に入れることもありました。モスクワ公国のロシア初代ツァーリ(皇帝)のイワン雷帝(イヴァン4世)はこのような遊びが好きなことで有名でした。 (つづく)
(日刊ベリタより)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201002200949356
ロンドンに新たな無料紙創刊
「無料紙戦争」が一段落したロンドンで、「ロンドン・ウィークリー」という新たな無料新聞が、今月上旬、創刊した。今度は週刊新聞である。期待大だったが、スペルの間違いが多いなど、「プロ」のメディア評論家から批判が出た。それでも、続けることに意義があるのかもしれない。以下は、16日付の「新聞協会報」に書いたロンドン・ウィークリー紙の意味合いに関する記事に若干付け足したものである。
***
ロンドンの通勤客を対象とする無料紙市場に2月5日、新無料紙ロンドン・ウィークリーが参入した。主要無料夕刊紙2紙の相次ぐ廃刊後、有料紙から無料紙に転換したロンドン・イブニング・スタンダードが夕刊紙市場を独占しているが、ウイークリー紙の創刊はこれを崩す動きとなる。広告収入のみで運営する無料紙のビジネスモデルが再評価されたともいえよう。
ウィークリー紙の発行は金曜日と土曜日。地下鉄の駅近辺で25万部が配られる。内容は「軽い読み物、ゴシップ、政治、健康、音楽、ファッション」。編集面(記事と写真)の3分の1は読者からの投稿による。発行元はグローバル・パブリッシング・グループ社で、創刊資金は1050万ポンド(約15億2千万円)。
スタンダード紙による夕刊紙市場の独占に風穴を開ける存在として発行が注目されていたが、創刊号の原稿には誤植が目立ち、「レイアウトがあか抜けていない」「素材が古い」などの不満の声がガーディアン紙(6日付)に寄せられた。一方、ロイ・グリーンスレード教授(メディア学)は「綴りや文法の正確さを気にしない何十万人がロンドンにやってくる」点を指摘し、ウィークリー紙の広告媒体としての意義を指摘した(同紙、同日付)。
好景気時代、広告収入を主要な収入源とする無料紙のビジネスモデルがもてはやされたが、景気後退による広告市場の縮小で、朝刊無料紙ロンドンペーパーが09年9月に、ライバル紙のロンドンライトがその2か月後の11月に廃刊に追い込まれた。1999年、アソシエーテッド・ニューズペーパーズ社が無料朝刊紙メトロを創刊して以来の「ロンドン無料紙戦争」が幕を閉じた格好となった。
しかし、昨年10月、スタンダード紙が有料から無料に移行すると、無料紙モデルが再評価されてきた。有料時には20万部前後だった同紙の発行部数は、昨年12月で60万部を超えた(英新聞雑誌部数公査機構ABC調べ)。「主要無料紙が消えたことで、広告主からの引き合いが増えた」(同紙編集長)という。高級紙インディペンデントが無料化を考案中という噂も絶えない。
メディア・コラムニストのピーター・ケーワン氏は、無料紙は不特定多数を読者としているように受け止められているが、実は配布者側は新聞を受け取る人物の性別や職種などの情報を把握している(「メディア・マネー」ブログ、09年11月10日付)。無料紙は特定の顧客に新聞を渡せるという点で、広告主にとって魅力的な媒体となる。ウィークリー紙の参入で、ロンドンの「無料紙市場は新たな競争の時代に入った」(同氏)という。
***
感想:広告の意味では「競合相手ができた・増えた」ことになるが、ジャーナリズムの面では「?」であろう。今後どうなるかは分からないがー。ただ、イブニング・スタンダードは無料と言いつつも、一部では有料で販売されている。あまりにも需要が多く、一部では新聞販売店が20ペンスから50ペンスで販売しているというのである。
****他ご参考までに***(英語)
ロンドン・ウィークリーのウェブサイト
http://www.thelondonweekly.co.uk/
創刊号に関しての厳しい批判に対する、ロンドン・ウィークリー側の反論
http://www.prweek.com/uk/news/983009/London-Weekly-hits-back-critics-its-production-standards/
ガーディアンサイト上の批判
http://www.guardian.co.uk/media/greenslade/2010/feb/05/pressandpublishing
第2週目の批評と紙面内容
http://www.guardian.co.uk/media/greenslade/2010/feb/12/london-weekly-second-edition
スタンダードが一部有料販売されている
http://www.guardian.co.uk/media/greenslade/2010/feb/15/london-evening-standard-free-not
フィナンシャル・タイムズ「FTコム」担当役員インタビュー:「世界で200-300万人のコア読者に力を注ぐ」
英国の新聞サイトで有料購読制に力を入れてきた、フィナンシャル・タイムズ(FT)。同紙のウェブサイト「FTコム」担当役員ロブ・グリムショー氏に、ロンドン社内のオフィスで現状と今後の動きを聞いた。同氏は、世界で「200万―300万人のコア読者に力を注ぐ」「アップルと手を組むことは特に考えてない」など、興味深い発言をしている。以下は、「NSK経営リポート」3号(1月18日、日本新聞協会発行)に掲載された「『無料の壁』と戦う英メディアー新聞各社、サイト有料化への動き」の記事の基になったインタビューである。情報は1月上旬時点のもの(NYタイムズの有料化構想発表前)であることをご了解願いたい。
―ウェブサイト上では、どこまで無料で読めるのでしょう?また、一般的に、新聞各紙のデジタル収入はかなり低いと言われていますが、FTの場合はいかがでしょう?
ロブ・グリムショー:現在、デジタル収入は全収入の21%を占めます。サイトの登録者は1170万人で有料購読者は12万1200人です(前年比22% 増)。サイト購読者からの収入は30%増となりました。ユニークユーザー数は昨年3月時点で1140万人で、前年同期比では60%増です。また、オンライン広告からの収入は全収入の8%を占めています。
無料で読める記事の本数ですが、もし名前を登録しなければ、月に2本まで読めます。登録すれば追加で8本まで読めます(都合10本、無料閲読可能)。その後は有料購読になります。購読しなくても無料で継続して読めるコンテンツ(ブログなど)もあります。これも将来的には有料購読の枠の中に入れようと思っています。
購読枠の外にあったのは技術的な理由でした。無料部分と有料部分をうまくを結びつけることができなかったのです。第3者が運営していたりして、技術上の問題がありました。
―マーケティングのためにわざとそうしているのだと思ったのですが。つまり、無料記事はサンプルとして使っていると。
確かに、サンプルがあるというのは購読モデルの非常に重要な部分です。アクセスモデルは、たくさんの数の人をサイトに連れてきて、登録あるいは購読にコミットする前に、何がサイトにあるかを見れるようにすることで成り立つからです。何を購読の外に置くのか、あるいは中に入れるかの決定は非常に難しいです。ある人にとっては為替情報がとても重要で、他の人にとっては商品情報あるいは企業情報かもしれませんし。
―FT紙版を有料購読すると、確か、サイト上の記事は無料で読めるんですよね?
昔はそうでしたが、今は、サイト閲読には追加料金を払うようになっています。
-12万人の購読者の内訳は?
大部分は、純粋にオンラインの購読者です。紙とサイトをセットで購入した場合や企業の購読者がこれに加わります。企業の購読者とは、FTの特別のライセンスを買い、FTのコンテンツを読むだけでなく、他のプラットフォーム例えばファクティバなどを一緒に買う人たちが入ります。
―一つの企業を「一購読者」と数えれば、実際には、「購読者12万人」といっても、これ以上の数の読み手が購読枠の中で閲読しているわけですね?
そうなります。
-12万人は底を打った数字と考えていますか?
ここ数年で、30-40万人に持っていきたいと思っています。最近の調査では、月に1000万人がFTサイトを訪問していました。非常に大きな数字です。しかし、実際のところ、私たちのコアになるオーディエンスはこれよりもはるかに小さいと考えています。
例えば、FTの新聞(紙)の発行は世界中で40万部です。FTの対象読者とは国際的に活躍する経営幹部や政策担当者たちです。専門家集団、ニッチ市場と言えるでしょう。おそらく、世界中で200万から300万人です。他の数百万の利用者たちは時々サイトに来て、記事を読みます。大歓迎ですが、私たちが力を注ぐのはこのコアになる(200万ー300万)人々なのです。
―どうやって購読者を増やすのでしょうか?
アクセスモデルの変更、つまり無料で読める記事の本数の変更、サイトの大きな改善、動画を増やす、インタラクティブ、グラフィックなどのリッチメディアを増やす、コメント欄の拡充などです。有料購読者となってサイトの全てにアクセスしたいと思わせるようなサイトを作ろうとしています。
今年は、マイクロペイメントを導入しようと思っています。多くの利用者が、年間の購読までいかなくても、FTの記事を読みたいと思っています。今のところ、そうしたくても年間購読しか選択肢がないのです。ある日一日、サイト全てにアクセスできる、あるいは記事ごとに支払って読むなどの「ペイ・ツー・ビューシステム」も一案です。これを導入すれば、マーケットを非常に大きく拡大することができます。
―今のところ、どうやってやるかを考えているということですね。
そうです。大きな技術的な挑戦です。誰かが一日だけ、あるいは1つの記事だけを読みたいとすれば、面倒なことに付き合う我慢度は非常に低いはずです。たくさんのフォームに入力しなければならないとなると、試さないかもしれません。そこで、簡単な支払い方法を考え付くことが非常に重要になります。ワンクリックのような形を実現したいと思っています。今年中には実現したいと思っています。
―上半期かそれとも下半期でしょうか?
期限を設定するのは苦手ですが、2010年以内にはやる予定です。というとも、ITプロジェクトの場合、期限を設定しても何時になるかは分からないのです。上半期にその一部でも実現できなかったらがっかりですが、まだ分りません。
―他の英紙インディペンデントやタイムズ、それにネット書籍販売のアマゾンも今おっしゃられた仕組みを、一部にしろ既に導入していますね。
確かにこれまで、有料・課金の方法として、さまざまな試みがありましたよね。でも、私自身は、それが特にうまくいっていたとは思っていません。特にメディアの世界では。他の世界、例えばアップルのアイテューンズストア、アマゾンなどは非常に成功していますが、私たちメディアはまた別の文脈の中にいると思うのです。アップルやアマゾンは社内で技術を開発し、ここまで作り上げました。そこまでは、FT内ではできないだろうと思っていたのです。しかし今は、FT自身がこれを非常に効果的に実行できるまでになってきました。共に働けるパートナーたちがいますし、プロジェクトを実行できると思えるようになりました。
―業界内のまとまった動きはあるのでしょうか?
業界内ではどうやったら一番いいかに関して話し合いはありますが、私たちはどちらかというとこの問題に関して、独自の見方をしています。つまり、自分たちのゴールがあってこれを達成しようとしています。
コンテンツ課金の話はおもしろいですね。インターネットが出版界を変えつつありますよね。多くの出版社がコンテンツを「課金の壁」(ペイウオール)の中に入れてしまうようになると、ユーザーがいろいろなサイトに自由に飛ぶことができなくなります。
そこで出版業界でプラットフォームをシェアするというアイデアが出てくるわけですが、これをする出版社の側には、コンテンツを保護したいと言う気持ちがあります。それ自体は良い動機ですが、他にもいろいろなやり方があると思います。
私が最も重要だと思っているのは、(課金の支払いに関する)面倒くさい手続きをなくすることです。利用者がいちいち、たくさんのフォームに入力する必要がなくなること。
支払いプラットフォームをシェアするというのも一方法です。コンテンツをシェアせずに、支払いのプロセスのみをシェアするのです。消費者は1つのアカウントを持つだけでよくなります。他のウェブサイトで使える、と。まだどうなるか分りませんが。
どの出版社もどうしたらいいか考えているところなのです。もし間違った選択をしてしまったら、将来のビジネスに大きな影響が出るのは必須です。
―アイチューンズストアが大人気のアップルとは手を組まないということですか?
必ずしも協力しないとはいいませんが、私たちにとって最大の問題は、顧客との関係です。ネットでコンテンツを提供する醍醐味の1つは消費者と直接の関係を持てることです。購読でコンテンツを直接届けますし、購読者は直接こちらに購読料を支払います。問題があれば、読者は私たちに直接連絡します。カスタマーサービスが直接対応します。企業の側からすれば、挑戦でもあります。今まであまりやってこなかったことに対応しなければならないのですから。しかし大きな恩恵もあります。消費者と直接の関係がありますから、利用者がどうやってコンテンツを消費するかが分りますし、アイデア、コメント、それに時としては不満も聞きます。耳を傾けて、製品を改造することもできるのです。
新しい製品やサービスを作って、直接マーケティングすることができます。広告主がオーディエンスの一部をターゲットにした広告を出すようにもできます。これは広告主にとってみれば、非常に価値があります。
例えばマイクロペイメントを実行するのに他の会社と組むとすると、プラットフォームを提供する会社は顧客の情報を自分たちで取得し、FT側には少ない情報しかくれないでしょう。これが頭痛の種です。
どのパートナーと働くかに関して、特に好みがあるというわけではないのですが、成功する提携関係を結べるパートナーがたくさんいると思います。提携方法に関して、私たちはこだわりますー顧客と直接の関係を持てるかどうか。
―紙よりもデジタルで利益率が高いと言いましたか?
そうです。紙では収入を得ても、制作費で使い切ってしまいます。印刷と配布にお金がかかるからです。
新聞の制作は非常にコストがかかるビジネスです。紙代、配送代、印刷、それにFTには23の印刷拠点が世界中にありますが、印刷の流れ、配送の流れが必要になります。非常に大きな投資です。デジタルでは、世界中の誰にでもリーチでき、固定コストは比較的小さいのです。オーディエンスが大きくなってもこのコストは変わりません。コンテンツ作りが主のビジネスにとっては、大きな利点です。
デジタルは脅威ではなく、問題や頭痛ではなく、実際には大きな恩恵をもたらすビジネスの機会です。こうした視点で、デジタルビジネスに率先して取り組んできました。
―FTは将来、ほぼ全てがデジタルになるという可能性もあるわけですか?
考えているのは、マルチ・チャンネル、マルチ・プラットフォームです。黒から白へという簡単な転換ではありません、今後10年を考えると、コンテンツの配布はイーリーダー、携帯、ウェブサイト、その他の私たちがまだ見たことのもないようなチャンネルなどを使うようになるでしょう。それでも、まだ紙の新聞で配信もしていると思います。
課題は、複数のチャンネルをいかに効果的に運営するかです。消費者の要求は高くなるばかりです。消費者がどこでどのようにコンテンツを受け取りたいのか。それにあわせて、コンテンツを提供できるビジネスを作らないといけないのです。
私たちが考えているモデルは、1つのブランド、1つのボイス、1つのFT、1つの編集チーム、1つのコンテンツを、様々なチャンネルを通じて提供していくというものです。
最終的に決め手となるのはコンテンツです。他にはない最高のコンテンツを作っている限り、人々はサイトに来て、購読する選択肢を選ぶと思います。
―ジャーナリストは何人いますか?
550人ぐらいです。オンラインと紙の編集室は一緒です。統合チームとして同じ建物の中で一緒に働いています。
―課題は?
たくさんありますよ。常にトレードオフがあって、どんどん決定をしていかないとなりません。どこまですばやく動いたらいいのか?どこにいくのか?デジタル体制を維持する技術も複雑です。
例えば、以前は別々だった紙とウェブの編集には、今は一つの統合システムを使っています。システムを変更し始めたのは、6-7年位前です。たくさんの人がシステム作りに関わってきました。やらなければよかったと思っている人もいます。お金がかかる、長いプロセスだからです。しかし、難しい問題に挑戦したために、成功に結びついたのです。
オンラインビジネスではこういうことがたくさんあります。課題があって、労力もかかるし、困難で資金がかかりすぎると思っても、これに挑戦すれば成功します。
―課金問題で、FTは経済紙だから特別だと思いますか?
確かに、有利な点があります。コンテンツは本当にユニークですし、読者はこれに大きな価値を見いだしています。他のサイトと比べて、課金するのは比較的容易かもしれません。しかし、どの主要出版物にも固有の特徴があります。ブランド、遺産、ジャーナリズムのリソースもあります。何百人もジャーナリストを抱えています。お金を払いたいと思うほどのコンテンツが作れるはずです。
広告収入のみに頼っている出版社は非常に険しい道を歩くことになります。こうしたビジネスモデルが今後も十分に機能するかどうか不明だからです。
―FTでさえもそうでしょうか?
オンラインの市場は非常に競争が激しいのです。たくさんのウェブサイトが広告を出しています。過剰供給の傾向があると思います。また、広告主にはいろいろ選択肢があります。検索エンジンに出すか、パートナー・マーケティング、あるいはアフィリエイトなど。出版社は広告収入を得るのに非常に苦労しています。FTの場合、有料購読制を採用しているために、私たちは誰がオーディエンスかを知っています。広告主が特定のオーディエンスに向けての広告を出せるようになるのです。それでも、広告市場から収入を得るのは難しいのです。出版社は広告収入をあげるためには、非常に苦労しなければなりません。
―現在のレートは低すぎると思いますか?
そう思います。オンライン広告市場は全ての出版社が十分に収入を得るほどは大きくありません。もっと急激に早く伸びないと。オンラインのディスプレイ広告は1年間に2-3%しか伸びていません。一方、検索広告や他のエリアはもっと早く伸びました。
FTの結論は、1つだけの収入源にたよらないことです。コンテンツを販売するのは正しい道であること。他の出版社は別の道を選ぶかもしれませんが。全ての出版社が広告以外の収入源を確保するべきです。
―ニュースの将来はどうなるでしょう?良いコンテンツを出すところがたくさん出ても、結局、利用者はたくさんのお金を払ってコンテンツを読むことになるとしたら、それは良いことでしょうか?特に、かつては無料で読めていたとしたら?
いつか、人は現実に気づくのだろうと思うのです。実際、ニュースは無料ではないのです。制作にはコストがかかります。FTは550人のジャーナリストを雇用しています。これは決してタダではないし、新聞社の運営には非常にお金がかかります。質の高いジャーナリズムへの投資は高いのです。他の出版社も同じで、ニュースを作るために大きな投資をしています。これを何かの形でペイされないでないと、出版社はつぶれてしまいます。
ニュースに対して、今までにないほど大きな需要があると思っています。需要が十分に強ければ、人々はコンテンツにお金を払うと思うのです。今はそう思っていない人でも、自分の好きな媒体の好きなジャーナリストの記事を読む唯一の方法がお金を払うことだったら、きっとそうすると思うのです。これまで、新聞を読みたくて50ペンス(約70円)を払ってきたのと同じように、です。
新聞社側がやることは、支払いのプロセスを簡単なものにすることです。50ペンスを払って新聞を買うときと同じぐらいに簡単に、です。消費者が満足して払えるように。
―日本の新聞経営者へのアドバイスは?
自分たちのコンテンツに自信を持つことです。製品、ブランドに。すべてを無料であげてしまうのは必ずしも正しいアイデアではないのではないでしょうか。自分のコンテンツに価格をつけることを恐れてはいけないと思います。ニュースは無料ではできない、ということをしっかりと頭に入れてほしいのです。
ロシアのスヴャーテキの年占い<下> 夢、薪、鏡、ロウ、ゴキブリ…多彩な方法で
10.02.01 by タチヤーナ ・スニトコ カテゴリー: 世界の窓
ロシアには占いの方法は沢山ありました。多いのは夢占いでした。いろいろな音や言葉が占いの対象になりました。例えば、田舎に住んでいる若い女性は犬の吠え声により占いました。夜中に家から出て包丁で雪を切りながら呪文を唱えるのでした。「鬼よ、鬼よ、私の将来の夫はどんな人でしょう?私は喜ぶでしょうかそれとも泣くのでしょうか?」
その後で、犬の吠え声を耳をすまして聞きました。うす気味の悪い断続的な犬の吠え声は厳しくてむっつりした夫を意味しました。犬の吠える声が明るく陽気なものであれば、将来の夫はやさしい人という意味でした。一番良くないのは唸り声を聞くことでした。それは結婚生活は長く続かなくて未亡人になってしまうという意味でした。
別の占い方法として、田舎でよくあった占い方は、パイを作って、そのパイを持って他人の家へ行き、その家の中の会話を聞くことでした。最初に聞いた名前が自分の将来の夫の名前でした。「行く」という言葉を聞けば、それはその年に結婚することになる。「座る」という言葉を聞けばそれはその年に結婚することはない。「横になる」という言葉を聞くことは病気になるということを意味しました。
さて、一番人気がある占いは旧正月の前夜にみる夢占いでした。その夜にみる夢は正夢になると言われていました。占う方法は様々でした。一番よく知られている占いは「橋」と「井戸」という占いでした。寝る前に枕の下にマッチ棒で「橋」か「井戸」を作って置き、寝る前に将来の婚約者にお願いし唱えるのです。「私が橋を渡るのを手伝ってください!」とか「私に水を下さい!」と。そうすると、夢の中で将来の夫となる人を見ることができるのです。
又、夢占いの別の方法の一つは、寝る前に少し塩分のある食べ物を食べて将来の夫となる人に水をお願いしますと頼んでから寝るのです。 また、これは夢占いではないのですが、別のユニークな方法は「薪一本占い」といわれる方法です。真っ暗な薪小屋に入って行き、手探りで無差別に薪一本を手に取るのです。それから、外へ出てその一本の薪を注意して観察するのです。
―「薪占い」の結果
平らで皮は薄い…将来夫となる人は 若くてイケメン
厚くてざらざらしている…将来夫となる人は変人
皮がはがれているか皮がない…将来夫となる人はお金がない
薪が割れている…将来夫となる人は老人
薪が大きい…将来夫となる人は健康で意志堅固
―お風呂で
又、別のユニークな占いにはとてもエキゾチックなものもありました。例えば、若い女性が将来の自分の夫となる人を占うために、真夜中に「バーニャ」(ロシア式蒸風呂)へ行くのでした。「バーニャ」には「バーンニク」(バーニャの神)が住むと信じられているのです。通常は、夜中に「バーニャ」に入ることはありませんでした。夜中には「バーンニク」か「鬼」が「バーニャ」を使うと信じられていました。
そのために、「バーンニク」と「鬼」のためにいつも少量の水と小さな石鹸を用意してありました。しかし、「バーンニク」と「鬼」が住むところなので占いをするのは良いところだと考えられていました。
まず、「バーニャ」の戸を開けます。スカートをたくし上げて、裸のお尻を「バーニャ」に入れます。もし、「バーンニク」がお尻をそっと触ったと感じると将来の夫は心の優しい人でお金持ちの人であるということになるのです。もし、「バーンニク」の手ガ触ってお尻がその手を冷たく感じ又「バーンニク」の爪を感じると将来の夫は厳しい人かまたは結婚しないということになるのです。
一番信頼性のある(その実、これが一番「危険」なのですが)占いの方法は「鏡占い」と信じられていました。鏡は人間世界と霊魂の世界の境界だと信じられていました。その占いの目的は、将来の夫となる人を占うことや遠く離なれたところにいる人や死者の消息について知ることでした。昔は「鏡占い」は「バーニャ」で行いました。
「バーニャ」の中で、真夜中の12時に、一人髪をたらして洋服の結び目をほどき靴を脱ぐのでした。テーブルの上には二人分の食事のセット (皿2枚、スプーン2本、カップ2本)を置きました。それから、テーブルの上に鏡を置きました。その鏡の前に座り、鏡の左右の両側に2本のロウソクを置きました。それから、自分の後ろにも鏡を置きました。二つの鏡により多層の反射効果が作りだされます。この多層反射の「回廊」は「死の回廊」と呼ばれました。
そして、この鏡に向かって呼びかけるのです。「私の将来のダンナさま!来てください。一緒に夕食を食べましょう!」と。そう言いながら、鏡の中の「回廊」を覗き込むのです。鏡が正しい位置に置かれていれば、その人は鏡の奥からやってくるのです。この「鏡占い」をやって意識を失ってしまった人は少なくありませんでした。
それから、「溶かしたロウによる占い」もありました。これは、昔も今もあります。ロウソクを溶かして、水か牛乳の中に垂らすのです(イラスト、右上)。
―固まったロウの模様による占いの結果
家の形…引っ越し又は結婚をする
がれきの山(形がない)…不運・災難・失敗がある
穴・洞窟・岩屋の形…つらい病気・葬式がある
枝が上に向く木の形 …喜びがある
枝が下に向く木の形 …退屈、憂鬱である
指輪・ロウソクの形 …結婚する
沈んだパンケーキの形 …長い独身状態が続く
十字の形 …病気か不愉快なことがある
開いた花の形…結婚する
動物の形 …悪意ある人が近くにいる
小さい星が沢山ある形…出世する
線の形 …出張・引っ越し・旅行がある
人の姿の形 …新しい友達ができる
―胡桃の船占い
又、ある占いは人気のある遊びです。「胡桃の舟占い」です。胡桃の半分の殻を使います。この半分の殻を舟に見立てます。たらいのような水の容器に水を入れます。くるみの舟に小さなロウソクを乗せます。水の容器の縁に占いの紙(宝くじがあたります」とか「新しい出会いがよい結果を生みます」とか「上流の生活ができます」とか「服を新調することができます」などが書いてあります)を貼り付けます。そして占いをする人の順番を決めます。それから、くるみの舟の中のロウソクに火をつけて、水の容器の中心にそっと置きます。すると、舟は容器の縁の方へ動いていき紙に近づいていきます。どれかの紙に火をつくと、その紙に書いてあることがその人に将来本当のことになるという占いなのです。
「影占い」というのもあります。旧正月の夜(1月13日)は「影占い」をします。紙(新聞でもよい)をしわくちゃにして皿の中に置きます。その隣にロウソクを置きます。紙に火を付けて、壁に映った影を見て占います。
田舎には「鶏占い」というのもあります。真夜中の12時に鶏を家に持ってきて、床の上に米を撒(ま)きます。鶏は一生懸命米をつっついて食べるとラッキーな一年になると信じられています。
また、同じように田舎では「おんどりとめんどりによる占い」というのもあります。まず、めんどりを家に持ってきます。それから、部屋の床の上に米、カップ入れた水、鏡を置きます。そして次に、おんどりを家に持って来きます。もしおんどりが米をつっついて食べるならば将来の夫となる人は働き者です。もしおんどりが鏡の方へ行くならば将来の夫となる人は夫自身だけが好きな人だということです。もしめんどりの方へ行くならば将来の夫となる人は妻を良く愛し世話をしてくれる人です。夫と妻のどっちが家族の中のリーダーになるのか知るためには、おんどりとめんどりの尻尾をひもで結び、引っ張りっこをさせます。勝った方が家のリーダーになるという占いです。
ソビエトの時代には新しい占いが生まれました。「シャンパン占い」です。新暦正月にも、旧正月にもシャンパンを飲みます。真夜中の12時前に小さい紙片に自分の望みを書きます。時計が新しい年を打ち始めたら、紙片に火をつけます。燃えて残った灰をシャンパンに入れて飲みます。もし紙が全部燃えてなければ、全ての望みは実現しないということになります。それから、紙ではなくてチョコレートで占う方法もあります。グラスに入ったシャンパンにチョコレートを入れます。チョコレートが沈まなければ良い年になります。
「モミの木占い」も新しいものです。夜中にモミの木のまわりに12枚の紙を置きます。一枚の紙は一ヶ月を表し12枚で1年ということになります。朝になって、一番多くモミの木の葉っぱ(針)が落ちていた紙が一番ラッキーな月ということになります。この占いを旧正月(1月13日)にすると、良い年になることは間違いありません。
占いを信じている人たちはよく占いをすると思われています。それ故、ロシアでは占いを信じている人たちの間で占いが人気があります。変な話なのですが、占いを信じない人たちは、新しい占い方法を創り出すのです。一つの例を挙げましょう。
ゴキブリを捕まえてよく観察してみてください。ゴキブリが足を動かしていれば忙しい年になります。触角を動かしていれば生活に変化があります。触角が動いていなければ安定した生活が続きます。足をすぼめていれば旅行にでると問題が発生します。又、ゴキブリを解放してみて下さい。左に向かって逃げれば恋愛は成就します。右に向かって逃げればあなたには損が発生します。(お金を損するという意味です)ゴキブリが逃げないならばあなたには敵がいません。
あなたは占いを信じますか、信じませんか? 占いについてのこのテキストをあなたが読み終われば、今年はあなたにとってとてもラッキーな年になると占いには出ていますよ。(つづく)
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201001311226150
(日刊ベリタより転載)



